【薬剤師執筆】冷所保存の医薬品・冷所不可の医薬品

医薬品情報集

医薬品管理で重要なことのひとつに、保存温度があります。

今回は冷所保存の医薬品について、まとめてみます。

冷所保存の錠剤・カプセル剤

・アルケラン®︎錠 2〜8℃(遮光)
・イムセラ®︎/ジレニア®︎カプセル 25℃以下
・チオデロン®︎カプセル 冷所(遮光)
・トリノシン®︎腸溶錠 なるべく冷所
・プロ・バンサイン®︎錠 2〜8℃
・メキニスト®︎錠 2〜8℃
・リアルダ®︎錠 冷所   など

一般的な調剤薬局では、比較的目にすることの少ない医薬品かもしれませんが、実は錠・カプセルにも冷所保存のものが存在します。

アルケラン®︎は多発性骨髄腫、イムセラ®︎/ジレニア®︎は多発性硬化症と、ともに「多発性〜」の薬。

アルケラン®︎は毒薬でもあるため、鍵のかかる冷蔵庫が必要になります。

プロ・バンサイン®︎は消化器症状で処方されることは少ないですが、多汗症などで時々処方されます。

メキニスト®︎はタフィンラー®︎との併用において悪性黒色腫・非小細胞肺がんの治療に使用します。タフィンラー®︎は室温保存。

リアルダ®︎は1日1回でよいメサラジン(5-ASA)製剤です。

冷所保存の液剤・散剤

液剤は通常は室温保存のものが多いですが、ガバペン®︎シロップ(2〜8℃)・トリクロリール®︎シロップ(1〜15℃)・ニューレプチル®︎内服液(冷所)のように、冷所保存の薬もあります。

また、アルロイド®︎G内用液やムコダイン®︎シロップのように「開封前は室温、開封後は冷所」というものもいくつか存在します。

同様に、タミフル®︎ドライシロップは「開栓後4週間以上保存する場合は10℃以下」となっています。患者さんが保管する場合は室温でOK。

その他、ともに抗酒薬であるシアナマイド®︎(冷所)・ノックビン®︎(なるべく冷所)なども。

冷所保存の坐剤

大きく分けて、油脂性基剤(体温で溶ける)は冷所保存、水溶性基剤(体温で解けず、体液で溶ける)は室温保存です。

割合としては水溶性基剤の薬剤のほうが少ないため、そちらを覚えておくとわかりやすいでしょう。

水溶性基剤の薬剤としてはマクロゴールを使用しているダイアップ®︎・ナウゼリン®︎・ペンタサ®︎が代表的です。これらは室温でOK。

微妙なのが、油脂性基剤のハードファットを使用したもので、一般的には冷所保存なのですが、アセトアミノフェン坐剤の一部(アルピニー®︎など)や痔疾治療剤は室温(1〜30℃、高温は避ける)となっています。いずれも理論上は30℃を超えなければ室温で問題ないと考えられます。

冷所保存の外用剤

・アクトシン®︎軟膏 10℃以下
・ユベラ®︎軟膏 15℃以下
・ベセルナ®︎クリーム 25℃以下
・ベピオ®︎ゲル 25℃以下
・デュアック®︎配合ゲル 2〜8℃

など、冷所保存の外用薬もあります。

反対に冷所不可の外用薬もあり、ゾビラックス®︎クリーム(15℃〜30℃で保存)などがそれにあたります(軟膏はOK)。ヒルドイド®︎ローションは冷所で成分が結晶化するため、こちらも避けたほうが無難。

ほか、フィブラスト®︎スプレーやメノエイド®︎コンビパッチも冷所保存です。

冷所保存の点眼剤

代表的なものにキサラタン®︎(2〜8℃)がありますが、ジェネリックでは室温保存でよいものも多く、利便性が向上しています。

ザラカム®︎・タプロス®︎・トラバタンズ®︎なども冷所保存なほか、ベストロン®︎は溶解後は冷所かつ7日以内に使用。

反対に冷所不可の点眼薬もあり、リザベン®︎(結晶が析出)などがそれにあたります。ノフロ®︎・バクシダール®︎も「長期間冷所に保存しない」と記載あり。

冷所不可の注射剤

インスリン・GLP-1受容体作動薬・生物学的製剤などの注射剤は一般的に冷所保存ですが、アナフィラキシー補助治療剤であるエピペン®︎注射液は「15〜30℃で保存することが望ましい」とされています。

正常に作動しないおそれがあり、用途からも緊急性の高い薬であることから、注意が必要です。

インスリン・GLP-1受容体作動薬は使用開始前は冷所保存ですが、使用開始後は室温でOK。

結露と、注射時の刺激を防ぐためです。

使用開始後、数週間の安定性は担保されています(製剤により4〜8週間)。詳細はノボノルディクスファーマさんが資料を作ってくれています。

入出庫時の注意

冷所品は卸さんからの納品時、保冷バッグから出してくれると思いますので、受け取ったらすぐにしまうようにしましょう。品質管理の問題もありますが、前述した「まぎらわしい薬」を誤って室温に保存してしまうことも防げます。

冷所品は原則として返品不可なので、発注ミスにも注意。

薬局間の小分けの際の移動方法にも気をつけましょう。梱包時など、適宜保冷剤の利用を。

患者さんに交付する際も、夏場や遠方からの来局者の場合、必要に応じて保冷剤を添付する配慮も必要です。

冷蔵室のどこに保管する?

冷所保存でも「凍結を避ける」とされているものがほとんどのため、冷蔵室でも温度の低い場所は避ける必要があります。

冷気の吹き出し口近くである「冷蔵室の奥」は避けます。また、チルド室は0℃前後のため不可です。温度的にはドアポケットなどが適切。

コメント

タイトルとURLをコピーしました