【薬剤師執筆】便秘薬の使い分け

薬の使い分け
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若い女性から高齢者まで、多くの人が悩まされている便秘症。

時には腸閉塞や大腸がんなどが隠れている場合もあり、注意が必要な症状です。

今回はその治療薬について、まとめてみます。

非刺激性下剤

刺激性下剤にみられる腹痛や耐性、習慣性などのリスクが低く、連用に適しています。

酸化マグネシウム

使用経験が長くエビデンスが豊富で、用量調節もしやすいことから広く使用されている薬です。

OTCとしても販売されています。

セフジニル・キノロン系薬・テトラサイクリン系薬などとはキレート形成するため、2時間程度あける必要があります。

高マグネシウム血症のリスクに関して厚生労働省から注意喚起がなされており、特に腎障害を有する方などは、吐き気・眠気・脱力感などの初期症状に注意が必要です。

粘膜上皮機能変容薬

腸粘膜に働きかけることによって腸管内の水分量を増加させ、シャープな作用を発揮します。

エビデンスレベルは高く、酸化マグネシウムと同等の推奨度と位置づけられています。

酸化マグネシウムと比べると薬価が高いのが難点か。

アミティーザ®︎(ルビプロストン)

クロライドチャネルアクチベーター。

酸化マグネシウムのような電解質異常のリスクが少ないです。

吐き気の副作用がみられることがあるため、「食後」となっています。

リンゼス®︎(リナクロチド)

グアニル酸シクラーゼC受容体アゴニスト。

大腸痛覚過敏の抑制作用があるため、「腹痛」「腹部不快感」などが強い症例で特に有効と考えられます。

食後投与では下痢の頻度が増加したため、「食前」となっています。

グーフィス®︎(エロビキシバット)

胆汁酸トランスポーター阻害薬。

腸管内水分増加作用に加え、消化管運動亢進作用もあります。

食事刺激による胆汁酸分泌が始まる前に服用しておく必要があるため、「食前」となっています。

モビコール®︎

ポリエチレングリコール®︎製剤であり、腸管内水分量を増加させます。

安全性が高く、小児用量も設定されています。

1包につき60mLの水に溶かして服用します。ラップなどをしてその日中に飲み切れば、分割して服用してもOK。溶かすのは水以外の飲料(果汁ジュースなど)でも可。

ラクツロース

小児の便秘に使用する「モニラック®︎シロップ/原末」のほか、成人の適応をもつ「ラグノス®︎NFゼリー」などがあります。

ちなみに「NF」のつかない「ラグノス®︎ゼリー」には便秘の適応はありません。

刺激性下剤

便秘には大きく分けて「排便回数減少型」と「排便困難型」があります。排便回数減少型は非刺激性下剤のみでコントロールできることも多いのですが、「軟便なのだけど力が弱く出せない」「残便感がある」といった排便困難型の場合、刺激性下剤が適宜必要となります。

ただし、腹痛・耐性・習慣性・大腸黒皮症のリスクがあることから、連用は推奨されていません。

センナ類として「プルゼニド®︎」「アローゼン®︎」「アジャスト®︎」「ヨーデル®︎」。

「ラキソベロン®︎(ピコスルファート)」には内用液もあります。

「ビーマス®︎」は軽い刺激性下剤で、こちらを連用するという選択肢もあります。

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