【薬剤師執筆】白内障周術期用薬の使い分け

薬の使い分け
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40歳代から進行し始め、80歳代では90〜100%の方が発症するともいわれている白内障。

その手術の実施件数は年間120〜140万件と、外科手術の中でも最多クラスです。

現在では技術も進歩し、日帰り手術も増えてきました。

今回はその周術期に用いる薬について、まとめてみます。

術前

白内障手術時には、黄色ブドウ球菌をはじめとした感染による「術後眼内炎」の予防のため、手術3〜5日程度前より抗菌点眼薬を使用します。

「クラビット®︎」「ガチフロ®︎」「ベガモックス®︎」などのキノロン系点眼液が主力。

「眼科周術期の無菌化療法」として適応にも記載されています。

クラビット®︎は、はじめは「0.5%」のみでしたが、濃度依存的に作用することが理解されてから「1.5%」が発売されました。

ガチフロ®︎は内服薬が存在しない(血糖異常により販売中止)ため、逆にいえば内服の多用による耐性菌ができていないことがメリット。

ベガモックス®︎は抗菌スペクトルが広いです。

術後

一般的に術後は「抗菌点眼薬」「NSAIDs点眼薬」「ステロイド点眼薬」の3種を使用します。

医師の判断により「散瞳薬」を追加する場合もあります。

継続期間は数週間〜3ヶ月と医師により異なりますが、「抗菌薬の連用は耐性菌につながる」「ステロイド点眼薬は眼圧上昇のリスクがある」ため、1ヶ月程度して状態が安定しているようならNSAIDs点眼薬のみに減薬する場合もあります。

抗菌点眼薬

術前の項にて挙げたキノロン系点眼薬を術後も使用します。

NSAIDs点眼薬

合併症である「嚢胞様黄斑浮腫(CME:網膜のむくみ)」の予防効果がステロイド点眼薬よりも高く、眼圧上昇リスクも低いです。

「ジクロード®︎」「ブロナック®︎」「ネバナック®︎」などが使用されます。

ステロイド点眼薬

眼圧上昇には注意が必要ですが、術後炎症改善効果に優れています。

「サンテゾーン®︎」「フルメトロン®︎」「リンデロン®︎」などが使用されます。

点眼のステロイドにもランクがあり

『強』:「サンテゾーン®︎0.1%」
    「リンデロン®︎0.1%」
『中』:「サンテゾーン®︎0.02%」
    「リンデロン®︎0.01%」
    「フルメトロン®︎0.1%」
『弱』:「フルメトロン®︎0.02%」

となっています。

術後は『強』〜『中』が用いられます。

ちなみに「リンデロン®︎0.1%」とは「リンデロン®︎点眼・点耳・点鼻液」または「点眼・点鼻用リンデロンA液」です。「リンデロンA」はフラジオマイシンとの合剤です。

これらリンデロンの外用薬は取り違えが多いので注意。「点眼・点鼻用リンデロンA液」を「耳」に使用してしまったという事故も報告されています。

散瞳薬

術後合併症のひとつである「虹彩後癒着(虹彩と人工レンズが癒着して眼圧上昇)」の予防のため、散瞳薬(抗コリン点眼薬)を術後1〜2週間程度併用する場合があります。

「ミドリン®︎M or P」などが使用されます。「P」はフェニレフリンが配合されており、散瞳効果が高いです。

外来の場合、まぶしさにより日常に支障が出ないよう就寝前に投与することが多いです。

内服薬

「抗菌薬」「NSAIDs」「ステロイド」「ダイアモックス」などを、術後当日or翌日から数日間内服する場合があります。

おまけ〜進行抑制点眼薬〜

手術が適用されない場合、「カタリン®︎」「カタリン®︎K」「カリーユニ®︎」などの点眼液を使用する場合もあります。

カタリン®︎は用時錠剤を溶解、カタリン®︎Kは用時顆粒を溶解。

カリーユニ®︎はよく振ってから使用するよう指導。

進行抑制効果は低いというデータもありますが、いまでも比較的目にする点眼薬です。

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