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抗不整脈薬の分類としては、「I・II・Ⅲ・Ⅳ群」に分けた「Vaughan Williams(ボーン・ウィリアムズ)分類」と、更に細かく「解離速度」「親和性」「遮断作用」などをまとめた「Sicilian Gambit(シシリアン・ガンビット)分類」があります。
ただし、薬局での調剤においてはこれよりも「心不全などの合併症があるか」「リズムコントロールかレートコントロールか」「副作用への忍容性はどうか」などといった部分に着目するほうが実際的かもしれません。
今回はそれらの使い分けについて、まとめてみます。
心房細動
抗不整脈薬治療に関連するものではもっとも一般的な不整脈。
高血圧・糖尿病・飲酒・喫煙などの生活習慣の影響も大きいため、それらの治療も必要です(アップストリーム治療)。
また、抗凝固薬による血栓予防も行います(抗凝固薬の使い分け参照)。
以下では主に慢性期に使用する抗不整脈薬について解説します。
レートコントロール(心拍数調節)
心房細動慢性期の第一選択は「β遮断薬によるレートコントロール」です。
ISA(内因性交感神経刺激作用)のない「カルベジロール(アーチスト®︎)」「ビソプロロール(メインテート®︎)」などが用いられます。
β1選択性の高いビソプロロールの方が心拍数抑制効果は高いです。
レートコントロールには、ジギタリス製剤や、Ca拮抗薬である「ジルチアゼム(ヘルベッサー®︎)」「ベラパミル(ワソラン®︎)」も使用可能ですが、長期予後の改善という点ではβ遮断薬のほうが優れているとされます。
リズムコントロール(洞調律維持)
レートコントロールとリズムコントロールの生命予後には有意差がなかったとの大規模臨床試験があります。
前述の通り、安全性などの観点から第一選択薬はβ遮断薬ですが、動悸や目眩といった自覚症状が強い場合にはリズムコントロールも選択肢となります。
持続が7日以内の「発作性心房細動」では、主にⅠa群またはⅠc群の抗不整脈薬を使用します。
頓服にてリズムコントロールを行う「pill-in-the-pocket」という投与法もあり、Ⅰa群の「シベノール®︎(シベンゾリン)」と、すべてのⅠc群「サンリズム®︎(ピルシカイニド)」「タンボコール®︎(フレカイニド)」「プロノン®︎(プロパフェノン)」が頓服可能です。この際は、やや高用量を1回で服用します。
持続が7日を超える際や、虚血や心不全を合併している際などは、「アンカロン®︎(アミオダロン)」「ベプリコール®︎(ベプリジル)」も検討されます。
「リスモダン®︎(ジソピラミド)」は抗コリン作用が強く、迷走神経の関与する夜間発作などに有用といわれます。
「メキシチール®︎(メキシレチン)」は上室性には無効なため使用しません。
上室期外収縮
健常人でも多くみられる不整脈であり、アルコール・カフェイン・ストレス・疲労などで誘発されることがあります。
通常は薬物治療は行わず、上記のライフスタイルの見直しで対処しますが、自覚症状が強い時はβ遮断薬かⅠ群抗不整脈薬を使用することがあります。
メキシチール®︎(メキシレチン)は上室性には無効なため使用しません。
また、心筋梗塞合併例へのⅠ群抗不整脈薬は予後を悪化させる可能性があるため推奨されません。
心室期外収縮
こちらも心疾患などの背景がなく自覚症状が軽微であれば、経過観察とすることも多いです。
自覚症状の強い時はβ遮断薬かCa拮抗薬を使用することがあります。
また、心筋梗塞合併例では、心保護目的でβ遮断薬がよく使われますが、これは心室性不整脈予防にも有効です。多発する場合はアンカロン®︎(アミオダロン)を使用する場合があります。
上室期外収縮の時同様、心筋梗塞合併例へのⅠ群抗不整脈薬は予後を悪化させる可能性があるため推奨されません。
心房頻拍・心房粗動(慢性期)
β遮断薬・Ca拮抗薬によるレートコントロールをメインに、各種抗不整脈薬が使用されます。
心房粗動ではアップストリーム治療や抗凝固療法も行います。
心室頻拍(慢性期)
それ自体は直ちに致死的ではありませんが、放置すると心室細動や心不全につながる重大な不整脈です。
原因疾患により対応は異なりますが、β遮断薬・Ca拮抗薬・Ⅰa群抗不整脈薬・Ⅲ群抗不整脈薬などが使用されます。
心室細動
代表的な致死性不整脈。
除細動のほか、Ⅲ群抗不整脈薬は主にここで使用します。
徐脈性不整脈
無症候性では治療の適応はありません。有症候性ではペースメーカーの植込みが第一選択となりますが、シロスタゾールやテオフィリンが適応外で使用される場合もあります。
各薬剤における注意点
Ⅰa群(特にジソピラミド)は抗コリン性の副作用に注意。
Ⅰa群はK+チャネル阻害作用によりインスリン分泌を促すため、低血糖に注意。
メキシレチンは過敏症症候群(皮疹など)、胃腸障害、食道停留による食道潰瘍に注意。
Naチャネル抑制薬(特にⅠc群)では陰性変力作用により心不全を悪化させる場合があります。拡張型心筋症や虚血性心疾患などで心機能が低下した場合は、アミオダロンなどの適応となります。
アミオダロンは蓄積しやすく「間質性肺炎/肺線維症」「催不整脈作用」「甲状腺機能異常」「角膜色素沈着」など、注意すべき副作用が多いです。
肝・腎障害の程度によっては禁忌となる薬剤も多いため、注意。



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