効果不十分の際や、副作用が生じた際などに薬を変更することはよくありますが、なかには切り替えの際に休薬の必要があるものや、用量を考慮しなければならないものもあります。
今回はそれらの薬について、まとめてみます。
ワルファリン↔︎DOAC
使い慣れた医師が多く経済的なワルファリンと、出血リスクが少ないなどの理由から近年評価されつつあるDOACは、相互に切り替えて使用することも多いです(詳細は抗凝固薬の使い分け)。
ワルファリン→DOACに切り替える際は、まずワルファリンを中止し、PT-INRが規定未満まで下がってからDOACを投与します(ワルファリンは作用消失までに時間がかかるため)。
具体的な中止期間としてはワルファリンの作用持続時間が48〜72時間(インタビューフォームより)であるため、そのあたりが目安でしょうか。
既にPT-INRが低値であれば、即時の切り替えもあり得ます。
逆にDOAC→ワルファリンに切り替える際は、まず両者を併用し(リクシアナ®︎の場合は半量に減量)、PT-INRが治療域の下限を超えてからDOACを中止します。
ユーエフティ®︎→ティーエスワン®︎
ユーエフティ®︎をはじめとするフッ化ピリミジン系薬は、ティーエスワン®︎に含まれるギメラシルにより代謝が阻害され副作用へつながるおそれがあるため、切り替え時は少なくとも7日間の休薬をおく必要があります。
ランタス®︎↔︎ランタス®︎XR
ランタス®︎XRは、ランタス®︎よりも平坦で持続的な作用を示すように設計された製剤です。
ランタス®︎→ランタス®︎XRへの変更の際は、同単位での変更でOKです(ピークが小さくなる分、血糖値が部分的に高くなる可能性はあり)。
ランタス®︎XR→ランタス®︎への変更の際は、ピークが大きくなる分、低血糖のリスクが上がるため、低用量での切り替えを考慮します。
ランタス®︎以外の持効型製剤からの切り替えについては添付文書参照。
ビソノ®︎テープ・ロナセン®︎テープ
錠↔︎テープの互換ですが、臨床試験の結果からは下記に示す用量比が同等と考えられるため、これが目安となります。
メインテート®︎錠:ビソノ®︎テープ=5:8
ロナセン錠:ロナセン®︎テープ=1:5
フェロミア®︎→インクレミン®︎
成人でも、フェロミア®︎で悪心・嘔吐などの消化器障害があらわれた際に、インクレミン®︎に変更することが時々ありますが、この際の力価計算が意外と間違われます。
インクレミン®︎の規格は「5%」であるため、「1mL→50mg(鉄として)」と計算してしまわれる場合がありますが、正しくは
| シロップとして | 溶性ピロリン酸第二鉄として | 鉄として |
| 1mL | 50mg | 6mg |
です。1mLには鉄として6mgしか入っていません。
フェロミア®︎1Tは「鉄として50mg」なため、インクレミン®︎シロップとしては「50/6=8.33mL=フェロミア®︎1T」が正解です。
その他
向精神薬各種には
・クロルプロマジン換算(抗精神病薬) ・イミプラミン換算(抗うつ薬) ・ジアゼパム換算(抗不安薬)
といった換算表があり、用量設定の際に使用することがあります。
同様にオピオイドスイッチング(ローテーション)の際も、換算表を参考にします。


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