【薬剤師執筆】吸入薬の使い分け

薬の使い分け
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耳で覚える薬の使い分け〜吸入薬〜【薬剤師・勉強】
吸入薬の使い分けを解説しています。音声のみで恐縮ですが、通勤途中や寝る前、スキマ時間の勉強に。文章をご希望の方はブログをご参照ください。【薬剤師解説】吸入薬の使い分け/※2021/01/18現在の情報です。定期的に更新致しますが、最新の情報は添付...

配合成分の種類と数、デバイスによる違いなど、使い分けが理解しにくい吸入薬。

今回はそれらの違いについて、まとめてみます。

<略語>
・ICS→吸入ステロイド薬
・LABA→長時間作用型β2刺激薬
・LAMA→長時間作用型抗コリン薬
・SABA→短時間作用型β2刺激薬
・SAMA→短時間作用型抗コリン薬

適応による使い分け

吸入薬を使用する主な疾患は「気管支喘息」「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」ですが、薬の選び方にはやや違いがあります。

「気管支喘息」の基本はICSであり、軽症の段階から積極的に使用し、重症度に応じてLABA/LAMAを併用します。

一方でCOPDの場合はLABA/LAMAが第一選択薬です。「ACO:Asthma & COPD Overlap(喘息とCOPDのオーバーラップ)」の場合にはICSを併用しますが、LABA/LAMAを使用していることが前提となります。

すなわち、「ICS単独」の場合は「気管支喘息」と予想されます。「フルタイド®︎」「パルミコート®︎」「オルベスコ®︎」「キュバール®︎」「アズマネックス®︎」「アニュイティ®︎」です。

逆にICSを使用していなければ「COPD」と予想されます。LAMAである「スピリーバ®︎」「シーブリ®︎」「エクリラ®︎」「エンクラッセ®︎」などです(スピリーバは気管支喘息の適応もあり)。

LABA/LAMAの合剤である「スピオルト®︎」「ウルティブロ®︎」「アノーロ®︎」「ビベスピ®︎」も、COPDと予想されます。

ICS/LABAの合剤と、ICS/LABA/LAMAの3剤配合剤については、商品により適応が異なります。理論上は気管支喘息とCOPDの両者に有効と思われ、今後は両方の適応をもつものが増える可能性があります。

<まとめ>
・ICS単剤→気管支喘息
・ICSなし→COPD
・ICS+LABA/LAMA→どちらの可能性もあり

デバイスによる使い分け

吸入薬は薬剤個々の特徴よりも先に、「正しく吸入できるか」が大切となってきます。

患者に合わせたデバイス選択が治療効果を左右するともいえます。

エアゾール類は「pMDI(加圧式定量吸入器)」、レスピマットは「SMI(ソフトミスト定量吸入器)」、その他は「DPI(ドライパウダー定量吸入器)」と分類されます。

pMDI(エアゾール類)

<薬剤例>
【ICS】フルタイド®︎・オルベスコ®︎・キュバール®︎
【ICS/LABA】アドエア®︎・フルティフォーム®︎
【LABA/LAMA】ビベスピ®︎
【ICS/LABA/LAMA】ビレーズトリ®︎
【SABA】サルタノール®︎・メプチン®︎エアー
【SAMA】アトロベント®︎

「エアゾール」「インヘラー」「エアロスフィア」などの名称がついていますが、基本となる使い方は同様です。

「押して吸う、というシンプルな動作」「吸う力が弱くてもOK」といった特徴から、高齢者でも比較的使用しやすいです。

一方、押すタイミングと吸うタイミングを合わせるのがやや苦手な方もいます。

強く吸う必要はありませんが、5秒程度かけて「ゆっくり深く」吸うよう指導が必要です(細い気管支まで届かせるため)。

タイミングが苦手な方向けの「スペーサー」や、押す力が弱い方向けの補助器具もあります。

DPI

自分のタイミングで吸入ができる反面、「速く深く」吸うために、ある程度の吸気力が必要となります。

様々なデバイスがあるため、混乱しないようにしましょう。

ディスカス

<薬剤例>
【ICS】フルタイド®︎
【ICS/LABA】アドエア®︎
【LABA】セレベント®︎

使用実績が豊富で使い慣れている医師も多いです。

ICSの「フルタイド®︎」→ICS/LABAの「アドエア®︎」のように、デバイスはそのままに追加併用できるメリットもあります。またこれらはともにエアゾールもあり、使い分けも可能です。

他に「セレベント®︎」もあります。

吸入時、水平を保つことなどに注意。また、鼻から吸ってはいけません(薬剤師国家試験誤答より笑)。

タービュヘイラー

<薬剤例>
【ICS】パルミコート®︎
【ICS/LABA】シムビコート®︎

「クルッ」「カチッ」「スー」の動作は高齢者には難しいことがあります。

「吸った感じがしない」「ゼロになったけど、振ると音がするから使っていた」などの報告が多いため、説明が必要。

シムビコート®︎は配合薬のホルモテロールが速効性を示すことから、長期管理薬(コントローラー)だけでなく発作治療薬(リリーバー)としても使用できます(SMART療法)。

ただし言い換えれば自己判断による過量投与のリスクがあるため注意(通常8吸入/日まで、一時的に12吸入/日まで)。

エリプタ

<薬剤例>
【ICS】アニュイティ®︎
【ICS/LABA】レルベア®︎
【ICS/LABA/LAMA】テリルジー®︎
【LAMA】エンクラッセ®︎
【LABA/LAMA」アノーロ®︎

主要な組み合わせに対応しており、守備範囲が広いです。

「開けて吸うだけ」なので簡単。間違えて吸う前に閉めると1回分ムダになるので注意。

開ける際、きしむ音がするのを心配される方がいるので、説明しておくとよいです。

ブリーズヘラー

<薬剤例>
【LABA】オンブレス®︎
【LAMA】シーブリ®︎
【LABA/LAMA】ウルティブロ®︎
【ICS/LABA】アテキュラ®︎
【ICS/LABA/LAMA】エナジア®︎

主要な組み合わせに対応しており、守備範囲が広いです。

カプセルの回転音と内容物で、吸入できているかの確認がしやすいことが特徴。

ジェヌエア

<薬剤例>
【LAMA】エクリラ®︎

グッドデザイン賞を受賞したデザイン。新幹線みたい。笑

「ボタンを押して吸うだけ」「信号の色で正しく吸入されたか確認できる」などのメリットがあります。

「ボタンを押したまま吸入しない」「最初から最後まで傾けない」ように注意。

SMI(レスピマット)

<薬剤例>
【LAMA】スピリーバ®︎
【LABA/LAMA】スピオルト®︎

pMDIより吸入タイミングが合わせやすく、DPIより弱い吸入力でOK、とそれぞれの欠点が改善されています。

一方で操作がやや難しいかもしれません。カートリッジのセットは薬局で行うことも多いです。

むせないためには「ボタンを押す前から」「ゆっくり」吸い始めるのがコツ。

回転が困難な場合の補助器具あり。

発作治療薬(リリーバー)

<薬剤例>
【SABA】サルタノール®︎・メプチン®︎

喘息発作時のリリーバーとしては、SABAを使用します。

過剰使用による動悸・震戦など副作用がしばしば問題となるため、指示量を超えないよう指導が必要です。

それほどまでに使用するようなら長期管理薬(コントローラー)の見直しが必要ですし、精神的な不安・依存が背景にある場合もあります。

吸入後のうがい

特にステロイドを使用する際は、口腔カンジダや嗄声(声枯れ)を防ぐために「ガラガラうがい」「ブクブクうがい」の両方を2〜3回ずつ行うことが推奨されます。

ただし、うがいが難しい状況も考えられるため、その際は「食前に吸入し、食事で洗い流す」「吸入後に飲み物でゆすいで飲み込む」なども手です。

廃棄方法

ほとんどのデバイスは金属が含まれているため、「不燃ゴミ」の扱いが多いです(スイングへラー・ディスクヘラーを除く)。

pMDIはスプレー缶が付いているため、それに準じた廃棄方法になります。

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