音声解説はコチラ↓ 耳で覚える薬の使い分け〜抗めまい薬〜【薬剤師・勉強】抗めまい薬の使い分けを解説しています。音声のみで恐縮ですが、通勤途中や寝る前、スキマ時間の勉強に。文章をご希望の方はブログをご参照ください。【薬剤師執筆】抗めまい薬の使い分け/※2021/04/06現在の情報です。定期的に更新致しますが、最新の情...
一口にめまいと言っても「グルグル」「フワフワ」「クラクラ」など異なる症状があり、原因も様々です。
今回は「鎮暈薬(ちんうんやく)」とも呼ばれる抗めまい薬について、まとめてみます。
めまいの分類
自覚症状による分類
・回転性めまい ・浮動性めまい ・失神性めまい
に分けられます。
「回転性めまい」は、真の意味でのめまいであり、抗めまい薬の適応となるのは主にこちらです。多くはメニエール病など「耳」の異常で起こりますが、脳幹や小脳に異常がある場合も起こることがあります。
「浮動性めまい」は、脳血管障害によるものや、うつ・不安など心因性のものなどがあります。原因疾患の治療が必要です。
「失神性めまい」は、いわゆる「立ちくらみ」などが含まれ、意識消失感・眼前暗黒感などを伴います。起立性低血圧や貧血、不整脈などが原因となります。
原因部位による分類
「耳」が原因の「末梢性めまい」と、「脳」が原因の「中枢性めまい」があり、これらを合わせて「前庭性めまい」と呼びます。それ以外が原因のものを「非前庭性めまい」と呼びます。
<抹消性めまい> ・メニエール病 ・良性発作性頭位めまい ・前庭神経炎 ・突発性難聴 など <中枢性めまい> ・脳血管障害 ・脳腫瘍 など <非前庭性めまい> ・貧血 ・自律神経障害 ・心身症 ・低血圧 ・不整脈 ・頸椎症 など
があります。
薬剤ごとの特徴
メリスロン®︎(ベタヒスチン)
「内リンパ水腫の除去」が主な作用のため、「耳」が原因の「回転性めまい」が主な適応ですが、脳循環改善作用もあるため、「脳」が原因の「中枢性めまい」にも有効とされます。
セファドール®︎(ジフェニドール)
「椎骨動脈の循環改善作用」「前庭神経路の調整作用」と、メリスロン®︎よりやや中枢近くに作用します。
メリスロン®︎と併用することもあります。
トラベルミン®︎ (ジフェンヒドラミン/ジプロフィリン)
ジフェンヒドラミンは強力な抗ヒスタミン作用・抗コリン作用をもつため、眠気・眼圧上昇・尿閉などに注意が必要です。
どちらかといえば頓服で使用することが多いです。
「トラベル」とある通り、乗り物酔い(動揺病)にもよく使われます。
ドラマミン®︎(ジメンヒドリナート)
こちらも抗ヒスタミン薬ですが、作用はやや弱く、トラベルミン®︎と異なり「緑内障」「前立腺肥大」の禁忌がありません。
アデホス®︎(ATP)
様々な臓器の循環改善作用をもち、めまいにもよく使用されます。
ただし、めまいへの適応は顆粒のみです。
イソバイド®︎(イソソルビド)
メリスロン®︎同様、内リンパ水腫の除去作用をもちます。
味が飲みにくいため、必要に応じて水や柑橘系飲料で希釈することも考慮します。
同成分の「メニレット®︎ゼリー」のような剤形も存在します。
イソメニール®︎ (イソプレナリン)
耳や脳の循環改善作用をもちます。
循環器系への副作用があらわれることがあります。
メリスロン®︎やセファドール®︎の方が副作用が少なく使いやすいため、それらの方が使用頻度は高い傾向にあります。
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