【薬剤師執筆】パーキンソン病治療薬の使い分け

薬の使い分け
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耳で覚える薬の使い分け〜パーキンソン病治療薬〜【薬剤師・勉強】
パーキンソン病治療薬の使い分けを解説しています。音声のみで恐縮ですが、通勤途中や寝る前、スキマ時間の勉強に。文章をご希望の方はブログをご参照ください。パーキンソン病治療薬の使い分け/※2020/12/30現在の情報です。定期的に更新致しますが、最...

ドパミンの不足によりスムーズに体が動かせなくなるパーキンソン病。

「安静時震戦」「筋強剛」「無動」「姿勢反射障害」という錐体外路症状のほか、「便秘」「排尿障害」「うつ症状」「認知症」などを伴うことがあり、薬物療法が基本となります。

また、抗精神病薬などによるパーキンソン「症候群」もしばしば問題となります。

今回はその治療薬について、まとめてみます。

レボドパ

最も治療効果が高く、多くの場合に第一選択薬として使用します。

特に運動症状が強い場合や精神症状などを合併する場合は有効性がより高いとされます。

ただし、長期服用で運動合併症(wearing off やジスキネジアなど)が起こりやすいため、比較的若年(65歳以下発症など)ではドパミンアゴニストまたはMAO-B阻害薬を優先する場合もあります。

あえてレボドパを使用する場合も、若年のうちはなるべく少量が勧められます。

多くの場合、有効性・安全性を高めるためDCI(ドパ脱炭酸酵素阻害薬)が配合されたものを使用しますが、単剤の方がジスキネジアが少ないという利点もあるようです。

wearing off がみられる際はCOMT阻害薬を併用する場合があります。「エンタカポン(コムタン®︎)」「オピカポン(オンジェンティス®︎)」です。

レボドパ・DCI・エンタカポンを配合した「スタレボ®︎」という製剤もあります。

オンジェンティス®︎は1日1回の服用で済みます。

症状のコントロールが不良の際は、デュオドーパ®︎による持続経腸療法も可能です。

ドパミン製剤は尿・汗が黒く着色することがあります。アルカリ条件下で酸化分解した際に生じるメラニンによるもので、酸化マグネシウムなどと混合するとこの反応が促進されるため、注意。

反対に酸性条件下では吸収が促進されるため、空腹時やレモン水で服用すると効果があらわれやすくなります。

レボドパの運動合併症

wearing off やジスキネジアなどの不随意運動をあわせて運動合併症といいます。

機序は多様ですが、神経細胞のドパミン保持能力が低下し、「一気に放出、即座に枯渇」してしまうことが主な原因と考えられます。

急なドパミン上昇はジスキネジア(手・足・口・首などが勝手に動く)の原因となり、急なドパミン減少は wearing off(効果がすぐに切れる)の原因となります。

wearing off の対策としてはドパミンの濃度を下げずに安定させる必要があるため、「分割投与」「他剤併用」などが試みられます。

逆にジスキネジアはドパミンの過剰を抑える必要があるため、「少量頻回投与」「他剤中止」などが試みられます。抗ジスキネジア作用のあるアマンタジンを併用することもあります。

ドパミンアゴニスト

若年者や運動合併症のリスクが高い場合に、レボドパの代替薬あるいは併用薬として使用します。

効果はレボドパに劣りますが、運動合併症のリスクが低いです。

徐放錠のミラペックス®︎・レキップ®︎や、貼付薬のニュープロ®︎・ハルロピ®︎など剤形豊富。

麦角系は心臓弁膜症のリスクがあるため、主に非麦角系が使用されます。ただしこちらは突発的睡眠に注意。

非麦角系は麦角系に比べ消化器症状も少なめです。

ちなみにドパミンやドパミンアゴニストによる悪心・嘔吐は、消化管におけるドパミン刺激が原因となるため、主に末梢で作用するドンペリドンが適当。メトクロプラミドは血液脳関門を通過しやすいため、錐体外路症状を悪化させるおそれがあります。

<参考>
・制吐薬の使い分け

MAO-B阻害薬

単独でも初期のパーキンソン病における運動症状改善効果はありますが、どちらかというとレボドパで効果不十分な際の併用薬として、レボドパの用量を抑えるために使用します。

覚せい剤原料のセレギリン(エフピー®︎)に対して、ラサギリン(アジレクト®︎)やサフィナミド(エクフィナ®︎)は「流通管理規制がない」「1日1回でよい」「不眠・悪夢・神経過敏が少ない」などの利点があります。

抗うつ薬全般と併用禁忌なため、うつ症状併発時は使用しにくいです。その他よく処方される薬では、トラマドール製剤やメジコン®︎も禁忌なため注意(メジコン®︎はMAO阻害薬側の添付文書には記載なし)。

ジスキネジア時は中止推奨。

抗コリン薬

初期のパーキンソン病に有効。認知機能障害のリスクがあるため、高齢者には推奨されません。

どちらかというと薬剤性パーキンソン症候群に対して使用することが多いです。

中枢移行性のあるトリヘキシフェニジル(アーテン®︎)・ビペリデン(アキネトン®︎)など。

ドパミン遊離促進薬(アマンタジン)

パーキンソン病そのものに対する効果は弱いですが、抗ジスキネジア作用があり「300mg/dayでジスキネジアを軽減できる。効果の持続は8ヶ月以下」と示されています。

幻覚・妄想などの精神症状などに注意。

レボドパ賦活薬(ゾニサミド)

震戦の軽減やoff時間の短縮を目的にレボドパと併用されます。

発汗減少に伴う熱中症に注意。

ジスキネジア時は中止推奨。

ノルアドレナリン前駆物質(ドロキシドパ)

起立性低血圧・すくみ足に対して。

パーキンソン病ではノルアドレナリンも欠乏するため。

アデノシン受容体拮抗薬

イストラデフィリン(ノウリアスト®︎)がこれにあたり、非ドパミン系の機序により wearing off を改善させます。

主に進行期の off時間の短縮効果が認められており、他剤にて効果不十分な際の併用薬などとして使用されます。

ジスキネジアの頻度がやや多いため、発現時は中止推奨。

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