【薬剤師執筆】過敏性腸症候群治療薬の使い分け

薬の使い分け
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耳で覚える薬の使い分け〜過敏性腸症候群治療薬〜【薬剤師・勉強】
過敏性腸症候群治療薬の使い分けを解説しています。音声のみで恐縮ですが、通勤途中や寝る前、スキマ時間の勉強に。文章をご希望の方はブログをご参照ください。過敏性腸症候群治療薬の使い分け/※2021/02/03現在の情報です。定期的に更新致しますが、最...

精神的ストレスや生活習慣などにより、便秘・下痢・腹痛などが起こりやすくなる過敏性腸症候群(IBS)。

有病率は10〜20%と高く、QOLへ与える影響の大きな疾患です。

「便秘型(IBS-C)」「下痢型(IBS-D)」「混合型(IBS-M)」「分類不能型(IBS-U)」に分けられます。

今回はその治療薬について、まとめてみます。

参考として、エビデンスレベルを括弧内に記します。

第一段階

ベースは「プロバイオティクス(A)」「高分子重合体(A)」「消化管運動機能調節薬(B)」です。

必要に応じて「下痢型に5-HT3拮抗薬(A)」「便秘型に粘膜上皮機能変容薬(B)」を単剤投与、またはベース薬と併用します。

これで改善が不十分であれば、「下痢型には止痢薬(D)」「便秘型には下剤・浣腸(D)」「腹痛には抗コリン薬(B)」を使用します。

プロバイオティクス(A)

どの菌株がよいかについては試験によって異なるようですが、総合的にみて使いやすい薬です。

「酪酸菌製剤(ビオスリー®︎・ミヤBM®︎など)」「ビフィズス菌製剤(ビオフェルミン®︎・ラックビー®︎など)」があります(整腸菌製剤の使い分け参照)。

便秘にも下痢にも使えます。

高分子重合体(A)

いわば、食物繊維を薬にしたもの。

「ポリカルボフィルカルシウム(コロネル®︎/ポリフル®︎)」がこれにあたります。

便秘にも下痢にも使えます。下痢には比較的少量(1.5g/day)で効果があるとされます。

高カルシウム血症に注意。

消化管運動機能調節薬(B)

「トリメブチン(セレキノン®︎)」がこれにあたります。

理論的には、低用量で消化管機能促進、高用量で消化管機能抑制に働きます。後者の作用を期待して下痢型に用いることが多いです。

OTCも存在します。

5-HT3拮抗薬(A)

「ラモセトロン(イリボー®︎)」がこれにあたります。

以前は男性のみの適応でしたが、のちに女性も使用可能となりました。

下痢型(IBS-D)によく適応します。

反面、便秘の副作用がやや多いため注意(特に女性)。

そのこともあり、女性の用量設定は男性より少なめとなっています。

粘膜上皮機能変容薬(B)

「ルビプロストン(アミティーザ®︎)」「リナクロチド(リンゼス®︎)」がこれにあたります。

便秘型(IBS-C)に使用します。

正確には、アミティーザ®︎の適応は「慢性便秘症」であり「過敏性腸症候群」ではありません。

アミティーザ®︎は「妊婦禁忌」「吐き気」などに注意。

リンゼス®︎は「食前服用」なので注意。

<参考>
・便秘薬の使い分け

「止痢薬(D)」「下剤・浣腸(D)」「抗コリン薬(B)」

「ロペラミド」「センノシド」「グリセリン浣腸」「ブチルスコポラミン」など。

詳細は割愛しますが、使い慣れている医師が多く、コストパフォーマンスにも優れます。

漫然投与は推奨されませんが、必要に応じて使用してもよいとされています。

第二段階

第一段階で反応に乏しいようであれば、メンタル方面からのアプローチを考えます。

「三環系抗うつ薬(A)」「SSRI(A)」「抗不安薬(C)」などが使用されます。

「四環系抗うつ薬」「SNRI」「NaSSA」に関してはエビデンスは少ないです。

理論的には、「下痢型には抗コリン作用の強い三環系抗うつ薬」「便秘型には抗コリン作用の弱いSSRI」が適すると考えられます。

特定の状況下における症状改善には、抗不安薬の頓服的な使用が奏功する場合もあります。

第三段階

第一、第二段階で効果不十分な際は、心理療法などを含めた治療を検討します。

ちなみに

なんと「プラセボ」のエビデンスレベルが「A」です。

実際にプラセボを使用することは少ないでしょうが、過敏性腸症候群の薬を服薬指導する際は、「効く」ということを飲む方に意識させると、治療効果も上がるかもしれませんね。

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