【薬剤師執筆】 β遮断薬の使い分け

薬の使い分け
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現在のガイドラインでは高血圧の第一選択薬からは外れましたが、依然として人気のβ遮断薬。

その理由はなんといっても、心筋梗塞後や心不全の「死亡率」を減らすという、大きなエビデンスがあるためです。

「降圧作用」より「心疾患用」と考えてよいでしょう。

現在は「心不全」に適応があり、エビデンスも豊富な「カルベジロール(アーチスト®︎)」「ビソプロロール(メインテート®︎)」が主に使われます。

降圧目的では、比較的若い方の「職場高血圧」など、交感神経活性化型の高血圧には有効な場合があります。

今回はこれらの使い分けについて、まとめてみます。

ビソプロロール(メインテート®︎)

β1:β2=75:1とβ1選択性が圧倒的に高く、ISA(内因性交感神経刺激作用)もないため、降圧力や脈を抑える効果が高いです。

逆にいえば徐脈に注意が必要。

レートコントロールと心保護を効果的に行うことができるため、心房細動(AF)と心不全の合併例などでは特に効果的です。

β2遮断作用が弱いため喘息に対する禁忌もなし。

心不全では0.625mg程度から徐々に開始しますが、降圧も目的とする場合は2.5〜5mgでの使用もあります。

近年では貼付薬も販売されています(ビソノテープ®︎)。換算は「メインテート®︎:ビソノテープ®︎=5mg:8mg」。

切断して微調整することも可能ですが、剥がれやすくなる可能性があるため注意が必要。

カルベジロール(アーチスト®︎)

α1遮断作用ももつため、抹消血管収縮を抑制し、臓器保護効果に優れます。

β1選択性は低いため、あまり脈拍を下げたくない場合には、こちらが適することもあります。

最大の欠点は喘息禁忌であることでしょうか。この場合はビソプロロールなどが適しています。

心不全では1.25mg程度から徐々に開始しますが、降圧も目的とする場合は5〜10mgでの使用もあります。

その他

アテノロール(テノーミン®︎)・アロチノロール(旧:アルマール)などは、昔から使い慣れている医師も多く、時に目にします。

余談ですが、アルマール®︎はアマリール®︎との過誤が多発したため、現在では一般名となっています。

番外:プロプラノロール(インデラル®︎)

非選択性のβ遮断薬。半減期短め。

処方頻度は高いですが用途としては甲状腺機能亢進症やメンタル疾患による「振戦」「動悸」に頓服などで使用することが多いです。

また、片頭痛に対する適応もあり。

コメント

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