【薬剤師執筆】痛風・高尿酸血症治療薬の使い分け

薬の使い分け
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耳で覚える薬の使い分け〜痛風・高尿酸血症治療薬〜【薬剤師・勉強】
痛風・高尿酸血症治療薬の使い分けを解説しています。音声のみで恐縮ですが、通勤途中や寝る前、スキマ時間の勉強に。文章をご希望の方はブログをご参照ください。痛風・高尿酸血症治療薬の使い分け/※2021/02/28現在の情報です。定期的に更新致しますが...

「風が吹いただけで痛い」と言われるほどの激痛を起こす痛風。

高尿酸血症は痛風や尿路結石につながるほか、近年では腎障害のリスクがほぼ明らかとなっており(尿酸値9.0mg/dL以上で約3倍)、生活習慣病や脳血管障害との関連も指摘されています。

今回はその治療薬の使い分けについて、まとめてみます。

治療開始の目安

血清尿酸値が7.0mg/dLを超えている状態を高尿酸血症と定義されていますが、7.0mg/dL~8.0mg/dLで痛風発作や痛風結節がなければ、生活指導にて経過観察とします。

尿酸値8.0mg/dL以上で生活習慣病や虚血性心疾患などの合併症がある場合や、9.0mg/dL以上となったら薬物治療を開始し、6.0mg/dL以下を目標とします。

痛風発作時の治療

痛風時に尿酸低下薬を使用すると発作が増悪することがあるため、まずは疼痛・炎症の除去を目的とします。

以下の薬剤を使用します。

NSAIDs

一般的にはこの系統が選択されることが多いです。

痛風発作は激痛のため、「高用量(常用量の2〜3倍)」「短期間(1〜3日)」使用する『NSAIDsパルス療法』が行われることもあります。

ロキソニン®︎やボルタレン®︎も使われますが、厳密にいうと「痛風発作」に適応があるのはナイキサン®︎(ナプロキセン)など一部のNSAIDsのみ。

ステロイド

NSAIDsで効果不十分な場合や、消化器・腎障害のリスクが懸念される場合ではステロイドを使用することもあります。

使用量については明確な基準はありませんが、目安としてはプレドニゾロン換算で15〜30mg/day程度です。

感染症・糖尿病など、リスクの多い薬なので、患者背景に注意が必要。

コルヒチン

近年では使用頻度は減少傾向。

「ジンジン」「ピリピリ」「ムズムズ」といった前兆が起こった際に服用します。

発作がピークとなってからではあまり効果がありません。

痛風発作を繰り返す場合、コルヒチンを連日投与して発作を抑えつつ、尿酸低下薬を開始する「コルヒチン・カバー」という手法もあります(1mg/日程度)。

発作寛解後の尿酸低下薬

痛風発作が落ち着いたら尿酸低下薬を開始します。

高尿酸血症には「産生過剰型」「排泄低下型」「混合型」があり、わが国では排泄低下型が60%程度と多くを占めます。

以前は、それぞれの型によって「尿酸生成抑制薬」「尿酸排泄促進薬」を使い分けることが推奨されていました。

ですが現在は、フェブキソスタット(フェブリク®︎)やトピロキソスタット(ウリアデック®︎/トピロリック®︎)といった尿酸生成抑制薬は、排泄低下型にも十分な効果が得られるため、そこまで厳密な使い分けはされなくなっています。

ただし、産生過剰型に排泄促進薬を使うと、排泄し過ぎた尿酸が尿路結石のリスクとなるため、推奨されません。

また、尿酸排泄薬は腎機能低下例では効果が期待できないことがあり、尿路結石保有例では悪化させることがあるため、これらの場合も生成抑制薬のほうが適しています。

尿酸低下薬は使用開始後、尿酸の減少に伴う関節炎が起こることがありますが、軽度であれば尿酸値の安定とともに改善します。

尿酸生成抑制薬

現在わが国では

・アロプリノール(ザイロリック®︎/サロベール®︎)
・フェブキソスタット(フェブリク®︎)
・トピロキソスタット(ウリアデック®︎/トピロリック®︎)

があります。

有効性については、インタビューフォームに記載されている「血清尿酸値変化率」「血清尿酸値6.0mg/dL以下達成率」では、フェブキソスタットが頭ひとつ抜き出ています。

アロプリノールは腎障害時(Ccr≦50mL/min)は減量が必要ですが、フェブキソスタット・トピロキソスタットは軽〜中等度の腎障害であれば通常量で使用できます。

アロプリノールは1日2〜3回、フェブキソスタットは1回、トピロキソスタットは2回です。利便性ではフェブキソスタットに軍配。

アロプリノールはスティーブンス・ジョンソン症候群など、皮疹にも注意が必要です。フェブキソスタットに関しては、心血管死のリスクがあることが指摘されており、海外ではアロプリノールで効果不十分の際のみ使用と位置付けられている国もあります。

尿酸排泄促進薬

現在わが国では

・ブコローム(パラミヂン®︎)
・プロベネシド(ベネシッド®︎)
・ベンズブロマロン(ユリノーム®︎)
・ドチヌラド(ユリス®︎)

があります。

ブコローム・プロベネシドについては、相互作用の多さなどから、近年ではあまり使われないため割愛します(特殊な場合で相互作用を利用する場合がありますが)。

ベンズブロマロンは尿酸排泄効果が高い、1日1回でよいなどの利点がありますが、肝障害・相互作用に注意が必要です。

ドチヌラドは肝障害・相互作用のリスクが軽減されており、今後に期待される薬です。

なお、尿酸排泄促進薬の投与時には、ウラリット®︎などの尿アルカリ化薬を併用して尿pHを6〜7(アルカリ気味の酸性)にし、尿路の尿酸結石を予防します。

尿酸を上げる薬、下げる薬。

高尿酸血症はチアジド系利尿薬、抗結核薬(エタンブトール・ピラジナミド)、アルコールなどでも引き起こされます。

逆に、尿酸トランスポーターであるURAT1を抑制するロサルタン、フェノフィブラートなどは、尿酸値を低下させます。

<参考>
・ARBの使い分けフィブラートの使い分け

尿酸低下薬服用中に痛風発作が起こったら?

「痛風発作時は尿酸低下薬を開始しない」と述べましたが、あくまで「開始しない」であり、既に尿酸低下薬を服用している方が発作を起こした場合は、服用は「中断せず」継続して、適宜鎮痛薬を服用します。混同しやすい点なので注意。

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