音声解説はコチラ↓ 耳で覚える薬の使い分け〜ACE阻害薬〜【薬剤師・勉強】ACE阻害薬の使い分けを解説しています。音声のみで恐縮ですが、通勤途中や寝る前、スキマ時間の勉強に。文章をご希望の方はブログをご参照ください。阻害薬の使い分け/※2021/01/06現在の情報です。定期的に更新致しますが、最新の情報は添付文...
心不全・腎不全に対するエビデンスが豊富なACE阻害薬。
近年では降圧力に劣る点や空咳の副作用がネックとなり、処方は減少傾向ですが、冠動脈イベントや生命予後改善効果のエビデンスは、ARBよりも優れるという報告も少なくありません。
今回はその使い分けについて、処方数の多い
- エナラプリル(レニベース®︎)
- イミダプリル(タナトリル®︎)
- ペリンドプリル(コバシル®︎)
を中心にまとめてみたいと思います。
持続力による選び方
安定した降圧効果を得るためには、持続性の高いものが好ましいことが多いです。
そのために良く利用される指標が
トラフ・ピーク(T/P)比
であり、次回服用直前(効果が最も切れてきた時)の降圧値を、最も効果が高い時の降圧値で割ったものです。
これが100%に近いほど効果の持続性が高いといえ、米国食品医薬品局では50%以上を推奨しています。
先に挙げた3種はすべて、この50%以上という条件を満たしています。
中でもペリンドプリルは75〜100%と、最も高い数値を示しており、持続力の面からは最も優れているとされています。
適応による選び方
エナラプリルは「慢性心不全」、イミダプリル(2.5mg/5mg)は「糖尿病性腎症」にも適応を有しています。
これらの背景を有している方には、優先的に選択されることも少なくありません。
ただしAN69という血液透析膜を使用している場合はアナフィラキシーのリスクがあるため禁忌。
空咳について
ACE阻害薬による空咳の副作用はとても有名です。
ただし、臨床的な経験則では
・約8割は自然経過で軽快する ・就寝前に投与すると出にくくなる ・CCBや利尿薬の併用で抑制できる
などの意見もあります(メカニズム不明で個人差もありますが)。
シルニジピンは空咳の発現頻度が低いとされています。
また、逆にこの副作用を利用することで高齢者などの咳嗽反射を回復できる可能性があり、「誤嚥性肺炎のリスクを1/3程度に減らすことができた」という報告もあります。
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