【薬剤師執筆】前立腺肥大症治療薬の使い分け

薬の使い分け
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耳で覚える薬の使い分け〜前立腺肥大症治療薬〜【薬剤師・勉強】
前立腺肥大症治療薬の使い分けを解説しています。音声のみで恐縮ですが、通勤途中や寝る前、スキマ時間の勉強に。文章をご希望の方はブログをご参照ください。排尿困難治療薬の使い分け/※2021/03/04現在の情報です。定期的に更新致しますが、最新の情報...

前立腺肥大症は、男性高齢者の代表的なQOL疾患であり、命に直接は関わりませんが、適切な治療が必要な病態です。

今回はその治療薬の使い分けについて、まとめてみます。

α1遮断薬

サブタイプ選択性

前立腺肥大症の治療の基本は

・タムスロシン(ハルナール®︎)
・ナフトピジル(フリバス®︎)
・シロドシン(ユリーフ®︎)
・ウラピジル(エブランチル®︎)

といったα1遮断薬です。

この際関わってくる受容体は

・α1A
・α1B
・α1D

の3つです。

ウラピジルはサブタイプ非選択的のため、この3つそれぞれに親和性を持ちます。

その他3つはα1Bへの親和性は低く、α1A,α1Dに関しては

・タムスロシンはα1A:α1D=3:1
・ナフトピジルはα1A:α1D=1:3
・シロドシンはα1A:α1D=55:1

とされています。

これを参考に以下をお読みください。

前立腺への薬効

前立腺の受容体の分布は個人差が大きく、α1Aとα1Dがどの程度関わっているかは人によります。

そのため、前立腺肥大に伴う排尿困難の場合、例えばα1D優位のナフトピジルで効果がなかった場合、α1A優位のシロドシンに変更すると、有効性を示したなどというケースもあります。

尿道への薬効

尿道平滑筋で主に発現しているのはα1Aです。

すなわち、尿道における抵抗を改善するのであれば、α1Aを遮断することが理に適っています。

女性の排尿困難では、前立腺は無関係ですから、α1A遮断作用の強いものが有効であると思われます。

現状、ウラピジル以外は「前立腺肥大に伴う排尿困難」が適応のため男性限定ですが、理論上はタムスロシン・シロドシンも効果はあると考えられます(適応外使用されることあり)。

膀胱への薬効

膀胱ではα1Dが多く存在しています。

そのため、夜間頻尿などの膀胱刺激症状がみられるケースでは、ナフトピジルが適していると考えられます。

起立性低血圧の軽減

α1Bは血管平滑筋に多く分布しているため、遮断することで起立性低血圧などの副作用があらわれるおそれがあります。

タムスロシン・ナフトピジル・シロドシンはサブタイプ選択的であり、α1Bへの影響が少ないため、この副作用は理論上軽減されます。

射精障害の軽減

精嚢ではα1Aが分布しているため、この遮断により「射精障害」「逆行性射精」が起こりやすくなります。

これらの副作用が問題となるケースでは、α1Dに親和性の強いナフトピジルか、タダラフィル(ザルティア®︎)が良いでしょう。

その他の薬剤

第一選択的に使用されるのはα1遮断薬 or PDE5阻害薬(適応があるのはタダラフィルのみ)。

メインとしては使いやすいα1遮断薬が使用されることが多いですが、無効例や前述の性機能障害が問題となる場合はタダラフィル(ザルティア®︎)も同等の効果が期待できます(どちらもグレードA)。

前立腺腫大が30mL以上のケースでは5α還元酵素阻害薬であるデュタステリド(アボルブ®︎)への変更 or 併用が推奨されます(グレードA)。

その他、軽症であれば副作用の少ないエビプロスタット®︎を使用することもあります(グレードC1)。

また、過活動膀胱(OAB)を併発することも多く、抗コリン薬やβ3作動薬を併用する場合もありますが、その際には排尿症状を悪化させないよう、排尿困難の治療を先に行うなどの考慮が必要です。

<参考>
・過活動膀胱治療薬の使い分け

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