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頭全体が締め付けられるような痛みが続く「緊張型頭痛」に対し、こめかみを中心に拍動性の痛みが起こる「片頭痛」。
芥川龍之介も患っていたとされ、著作の「歯車」は、前兆の「閃輝暗点」を示しているという話もあります。
今回はその「治療薬」と「予防薬」についてまとめてみます。
発作治療薬
「エルゴタミン製剤」と「トリプタン製剤」がありますが、エルゴタミン製剤は
・吐き気の副作用が多い ・妊婦禁忌 ・中等度〜高度の片頭痛には効果が薄い
などの理由から、近年ではあまり処方されていません。
トリプタン製剤は「即効性」「持続性」「剤形」などを根拠に使い分けされることが多いです。
53個の試験を分析したメタアナリシスがあり、それによれば
<即効性(服用2時間後の改善率)> 1位「リザトリプタン(マクサルト®︎)」 2位「ゾルミトリプタン(ゾーミッグ®︎)」 3位「スマトリプタン(イミグラン®︎)」 4位「エレトリプタン(レルパックス®︎)」 5位「ナラトリプタン(アマージ®︎)」
<持続性(服用後の再発率)> 1位「ナラトリプタン(アマージ®︎)」 2位「スマトリプタン(イミグラン®︎)」 3位「エレトリプタン(レルパックス®︎)」 4位「ゾルミトリプタン(ゾーミッグ®︎)」 5位「リザトリプタン(マクサルト®︎)」
となっています(TmaxやT1/2を比較したものではありません)。
すぐ効くマクサルト、長く効くアマージ、といった感じですね。
剤形面では、点鼻や注射もあるイミグランが人気。ただし、ジェネリックも含めOD錠がないため、そこを考慮すると「マクサルトRPD」や「ゾーミッグRM」も有用です。
ちなみにスマトリプタン内用液「タカタ」などもあります。
「女性にアマージ」と言われるように、ナラトリプタンには月経前症候群(に伴う片頭痛)に予防投与した際のエビデンスがあります。
リザトリプタンは予防薬としても使われるプロプラノロールと併用禁忌。時々過誤が起こる事例です。
服用間隔については、半減期の長いナラトリプタンは4時間で、その他は2時間あける必要があります。
発作予防薬
NSAIDsやトリプタン製剤などの発作治療薬は、使い過ぎによる「薬物乱用頭痛」が問題となることがあります。
また、頻繁な頭痛により神経が過敏になると、少しの刺激で痛みを感じる「アロディニア」につながることがあります。
以上よりガイドラインでは「月2回以上の発作、または6日以上続く発作がある」場合には、予防薬の投与が推奨されています。
エビデンスレベルが高く、正式に適応が認められているものは
・バルプロ酸(デパケン®︎/バレリン®︎/セレニカ®︎) ・プロプラノロール(インデラル®︎)
の2つです。
ただし、バルプロ酸は妊婦禁忌のため、片頭痛が妊娠可能年齢の女性に多いことを考えると使えない状況も多いです。
プロプラノロールは気管支喘息やリザトリプタン(マクサルト®︎)服用中では禁忌。
エビデンスレベルは下がりますが、ロメリジン(ミグシス®︎)は副作用や相互作用が少ないため、使いやすいです。ただしバルプロ酸と同様、妊婦禁忌。
その他、適応外になりますが、抗うつ薬・抗てんかん薬も使われます。
ベラパミル(ワソラン®︎)とアミトリプチリン(トリプタノール®︎)は適応外ですが審査上認められています。
最近では、1ヵ月に1回の抗体製剤であるガルカネズマブ(エムガルティ®︎)も承認されました。
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