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厚生労働省による2017年患者調査では、糖尿病の患者数は3,289,000人と発表されています。
医療関係者の方々も毎日のように治療に携わっているのではないでしょうか。
今回はその糖尿病薬の使い分けについてまとめてみます。
メトホルミン(メトグルコ®︎)
WHOや欧米のガイドラインでは第一選択薬に位置づけられています。わが国では第一選択薬は特に指定されていませんが、よく使われる薬です。
体重増加抑制作用やインスリン抵抗性を改善することから、肥満の方に適すると良く言われますが、非肥満の方も含め様々な方に有用です。
低血糖が少なく、それに伴う認知症・うつ・心血管イベント・フレイルなどのリスクも抑えられます。
血糖降下以外のエビデンスも豊富で、心血管イベントや全死亡率を下げるという研究報告があります。
その他にも、薬価が安い、合剤が多い、などのメリットもあります。
開始時や増量時に下痢が起こることがあるため、500mg/day程度から始め、250〜500mg/dayずつ増量するとよいとされます。
ただし、下痢は数日で軽快することもあるので、脱水にならないよう気をつけながら、少し様子を見るよう指導することも大切。
高齢者・CKD・アルコール多飲者・脱水時、シックデイ時などは乳酸アシドーシスのリスクが上がるため、注意が必要です。
ちなみに最近、PHD阻害薬という、乳酸アシドーシスの治療薬が研究されています。
SGLT2阻害薬
2014年の発売以降、着実に処方数を伸ばしつつある商品群。
血糖降下作用に加え、心血管イベントの抑制やCKDの予防・改善に対するエビデンスが報告されており、それらの背景をもつ場合には特に有効と考えられます。
2020年11月にフォシーガ®︎が「慢性心不全」の適応を取得し、ジャディアンス®︎も適応追加の申請中です。
利尿作用が欲しい方、体重減少させたい方にも良いでしょう。
反面、脱水のリスクには注意が必要です。多尿、口渇、皮膚の乾燥、濃い尿が出る、めまいがする、などの兆候を観察し、適度な水分摂取の勧奨を。
膀胱炎(特に女性)にも注意。
DPP4阻害薬
2009年のシタグリプチン(グラクティブ®︎/ジャヌビア®︎)の発売以来、低血糖リスクの少なく使いやすい薬として汎用されてきた商品群。
現在でも使いやすい薬ではあることには変わりありませんが、近年では肥満・脂質過剰・冠動脈疾患の方への効果が減弱することが指摘されているため、それらの背景のない「非肥満」の患者への投与がより適切と考えられます。
薬剤間の治療効果には大きな差はないとされていますが、ビルダグリプチン(エクア®︎)がやや有効性が高いとされています。
忍容性の面では、腎機能低下時でも減量が不要なテネリグリプチン(テネリア®︎)やリナグリプチン(トラゼンタ®︎)が人気。
注意点として、「水疱性類天疱瘡」の発症が報告されているため、特に服用開始後90日程度は、各部に発疹があらわれないか観察を。
ピオグリタゾン(アクトス®︎)
内臓脂肪によるインスリン抵抗性を改善する、というのが主な作用のため、特に内臓脂肪型の肥満患者へ有用。
ただし皮下脂肪は逆に増やします。
また、水分貯留とそれに伴う浮腫・体重増加を起こすことがあり、心不全には禁忌です。
骨折のリスクが指摘されており、特に閉経後女性には向きません。
膀胱癌との関係についても議論されていますが、因果関係はやや弱いように思われます。ただし現病歴・既往歴のあるケースでは避けたほうが無難かもしれません。
α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
食後高血糖是正薬。
近年、血糖値の急激な上昇(血糖値スパイク)は心筋梗塞・脳梗塞・がん・認知症・メンタル疾患など様々なリスクが指摘されており、α-GIも再評価されています。
腹部膨満・放屁などの消化器症状は服用後1〜2週に多く、その後は軽減することが多いです。
食後15〜30分の投与でも、血糖曲線下面積(AUC0〜180分)やHbA1cの改善度に差がなかったとする報告もあり、食前に飲み忘れても急いで服用することが大切かもしれません。
アカルボース(グルコバイ®︎)は唾液・膵液中のα-アミラーゼも阻害するため、効果も副作用も大きめ。
ボグリボース(ベイスン®︎)は使い慣れている医師が多く人気が高いです。0.2mgは予防にも。
ミグリトール(セイブル®︎)は小腸上部で吸収されるため、小腸下部ではグルコースが吸収されます。このことがGLP-1の分泌を促進するため、それによる血糖降下作用もあるとされます。DPP4阻害薬との相乗効果も期待できるかもしれません。
SU薬・グリニド薬
それぞれインスリン分泌を促進する薬です。
・SU薬:「長く」「強力」に分泌促進 ・グリニド薬:「速く」「弱め」に分泌促進
というのが大まかな違いです。
低血糖リスクや二次無効の観点から、近年での処方は減少傾向です。
これらの薬を使う場合は、インスリン分泌が低下した非肥満の患者などに適すると考えられます。
グリメピリド(アマリール®︎)はインスリン抵抗性も改善します。インスリン増加に伴う体重増加も比較的起こしにくいです。
グリニド系のレパグリニド(シュアポスト®︎)は持続がやや長くSU薬に近いです。胆汁排泄でありCKDに使いやすい利点があります。


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[…] 『糖尿病薬の使い分け』でも述べましたが、DPP-4阻害薬は肥満傾向の方では効果が減弱する可能性があるため、このような場合はGLP-1受容体作動薬がより適していると考えられます。 […]
[…] ・糖尿病薬の使い分け […]