いまや医療費の削減のために薬局でも無視することのできなくなった後発医薬品(ジェネリック医薬品)。
しかし加算のための使用割合を上げるにあたり、計算方法がわかりにくいと感じることもあるのではないでしょうか。
今回はその考え方について、まとめてみます。
基本式
後発医薬品の数量シェア(置換え率) =【後発】/(【後発】+【後発のある先発】) ※数量ベース
上記が後発医薬品調剤体制加算における計算式です。ジェネリックに変えられるもののうち何%を変えているか、ということですね。
簡単に言えば、【後発の調剤数】が増えれば%は上がり、【後発が世の中にあるのに先発で調剤したもの】が増えれば%は下がります。
数量ベースなので「6T分3」のような使用量の多い薬は割合への寄与度が大きいです。
除外されるもの
・経腸成分栄養剤 ・特殊ミルク製剤 ・生薬 ・漢方製剤 ・その他の生薬及び漢方処方に基づく医薬品 ・局方品 ・準先発品 ・基礎的医薬品 ・【後発】のうち、薬価が先発以上のもの ・【先発のある後発】のうち、薬価が後発以下のもの ・公費単独
上記が基本式から除外されるものです。
以下、それぞれについて解説します。
経腸成分栄養剤
経腸成分栄養剤とは、エンシュア・ラコール・エネーボ・イノラス・エレンタール・ツインラインといったものです。確かにこれらを数量ベース(mL)で計算に入れたら大き過ぎて大変なことになりますね。
局方品
日本薬局方収載の医薬品については【先発】でも【後発】でもないため、計算からは除外されます。
ちなみにこれらは銘柄名処方であった際、代替調剤も不可能です(一般名処方であればどちらでも可)。
具体的には「プレドニンとプレドニゾロン」「ワーファリンとワルファリンカリウム」などです。
準先発品
準先発品とは、昭和42年以前に承認・薬価収載された医薬品のうち、同一剤型・規格で薬価差のある後発品が存在する医薬品のことです。
「先発品に準ずる」という意味ですが、「先発品」ではないため、分母の【後発のある先発】からは除外されます。
ただし、それに対するジェネリックは、価格差があれば分子の【後発】に計算されるため、変更することで%を上げることが可能です。
ラシックス®︎など多数の医薬品が該当します。
ちなみにトランサミン ®︎(250)やメジコン®︎(15)は価格差のあるジェネリックがなく、先発でも後発でも準先発でもない「何者でもない医薬品」です。計算には含まれません。
基礎的医薬品
基礎的医薬品とは、簡単に言えば、昔から広く使われている薬で、採算が取れなくなって製造中止にならないように、一定の薬価を維持することとされた薬です。
これらの成分を含む薬は【先発】でも【後発】でもないため、計算からは除外されます。
【先発】でも【後発】でもないということは原則として変更調剤は不可ですが、基礎的医薬品という区分ができる前(平成28年3月31日以前)に変更調剤がされていたものについては、変更してもよいとされています(ただし%には影響しません)。
例としては
・セファレキシン製剤(ケフレックス®︎など) ・セファクロル製剤(ケフラール®︎など) ・セフジニル製剤(セフゾン®︎など) ・セフジトレン製剤(メイアクト®︎など) ・ノルフロキサシン製剤(バクシダール®︎など) ・ポビドンヨード製剤(イソジン®︎ガーグルなど) ・ゲンタマイシン外用製剤(ゲンタシン®︎など) ベタメタゾン/ゲンタマイシン外用製剤(リンデロン®︎・デキサン®︎・デルモゾール®︎など)
があります。
【後発】のうち、薬価が先発以上のもの
メトグルコ®︎のように、先発と後発の薬価差がないものに関しては計算からは除外されます。替えてもメリットがないということですね。
【先発のある後発】のうち、薬価が後発以下のもの
テオドール®︎(先発)<テオロング®︎(後発)のように、後発の方が高いものについても計算からは除外されます。これも金額的メリットがないということです。
公費単独
生活保護のように公費単独の処方については、計算からは除外されます。最も、生活保護の場合は原則としてジェネリックでの調剤が必要ですが。
結局のところ…?
薬価差のないものに関しては除外される、と考えてよいでしょう。一方で、薬価差があっても局方品や基礎的医薬品に該当する際は「%に関係ないorそもそも変更ができない」場合があるということになります。
新発売月の扱い
新たなジェネリックは発売日から分子の【後発】に計算されます。
一方で、その先発品は翌月1日から分母の【後発のある先発】に計算されます。
つまり、新発売月にすぐ変更したものについては、分子のみが増えるため、%が増えやすいとも言えます(その月だけですが)。
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