【薬剤師執筆】漢方薬（精神疾患）の使い分け

精神疾患の基本は薬物療法ですが、西洋薬だけでは限界があったり副作用があらわれたりする場合も多く、そういった場合に漢方薬が有効なことがあります。

今回はその使い分けについて、まとめてみます。

抑肝散

小児から高齢者まで利用できる応用範囲の広い漢方薬ですが、近年では特に認知症の周辺症状（BPSD）である興奮・徘徊・不眠などによく使われます。

抑肝散に近いですが、悪心・嘔吐があったり虚弱な場合にこちらを使うことがあります。

体力があり、のぼせやイライラといった神経の高ぶりがある際に使用します。

体力がなく、不安やイライラのほか、胃の不調を訴える際に適します。

体力があり、不安や動悸といった精神症状がある際に使用します。

体力がなく、不眠や動悸、性的不定愁訴を訴える際に適します。

神経の高ぶりを抑えるため、双極性障害やパニック発作などに使用します。即効性があるため頓服としても。

精神不安や消化器症状があり、特にノドがつまったような感覚（梅核気・咽中炙臠・ヒステリー球）や声が出しにくいといった感覚に対し使用します。

不安・動悸のほか、特にめまいを伴う場合に適します。似た名前ですが苓姜朮甘湯はかなり異なる漢方なため注意。

対象は女性が多く、体力があり便秘がちで月経に関連した不安やイライラなどに。

こちらも女性の精神不安に利用されますが、体力がない場合に。

元気のない人の精神症状緩和に。食品に近いため飲みやすいです。

手足に軽い冷えがある場合の、精神症状や胃腸症状に。

桂枝加芍薬湯と四物湯の合方であり、嫌な記憶のフラッシュバックに用いられることがあります。