【薬剤師執筆】更年期障害治療薬の使い分け

薬の使い分け
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閉経をはじめとした原因によるエストロゲン欠乏により、ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)や不眠、骨粗鬆症や精神症状など、女性のQOLに大きな影響を与える更年期障害。

今回はホルモン補充療法(HRT)に代表されるその治療薬について、まとめてみます。

ホルモン補充療法

ホルモン補充療法の注意点

HRTは禁忌も多い治療法なため、事前に入念な確認が必要です。

<禁忌>
・子宮内膜がん
・未治療の子宮内膜増殖症
・乳がん(既往含む)
・血栓性静脈炎・肺塞栓(既往含む)
・虚血性心疾患・脳卒中(既往含む)
・原因不明の不正性器出血
・重篤な肝障害
・妊婦

子宮内膜がん・乳がんはエストロゲン依存性腫瘍であるため、HRTにおいては禁忌とされています。

子宮のある場合は子宮内膜がん新規発症を予防するため、原則としてエストロゲン単独ではなくプロゲスチンを併用します。

ちなみに天然型黄体ホルモンがプロゲステロン、合成黄体ホルモンがプロゲスチンです。エストロゲン単独療法をET(Estrogen Therapy)、エストロゲン/プロゲスチン併用療法をEPT(Estrogen Progestin Therapy)といいます。

HRTによる乳がんの新規発症については議論が続いていますが、ETでは7年未満、EPTでは5年未満であればリスクの有意な上昇はみられないとされています。

また、エストロゲンは肝臓において凝固因子の合成を促進するため、血栓症を誘発・増悪する可能性があります。

以上などの要素を考慮し、ベネフィットがリスクを上回ると判断された場合にHRTの適応となります。

ホルモン補充療法の投与法

投与法は以下の4種類があります。使い分けについては明確な決まりはありませんが、主なものを記載します。

(E:エストロゲン P:プロゲスチン)

<EPT・周期的併用法(間欠法)>
「E単独→EP併用→休薬」の繰り返し。
Eを21〜25日間(後半の10〜14日間はP併用)
服用し、5〜7日の休薬を挟む投与法です。
EP併用終了後に月経様の出血がみられます。
主に周閉経期の女性に用いられます。
<EPT・周期的併用法(持続法)>
「E単独→EP併用」の繰り返し。
休薬期間をなくした投与法。
28日あたり10〜14日間はPを併用します。
EP併用終了後に月経様の出血がみられます。
主に周閉経期で更年期症状の強い女性に。
<EPT・持続的併用法>
「EP併用」の継続。
常に併用する投与法。
初めの数ヵ月に不正出血がみられますが、
その後は出血はみられなくなります。
主に閉経後数年経った女性に用いられます。
<ET・持続的単独法>
「E単独」の継続。
子宮のない女性は子宮内膜がんのリスクを
考慮する必要がないため、E単独となります。
子宮がないため出血もみられません。

エストロゲンの外用製剤は別に投与法が定められており(後述)、必要に応じて内服でプロゲスチンを併用します。

エストロゲン製剤(内服)

古典的な製剤としては結合型エストロゲン(エストロゲン様物質の合剤)である「プレマリン®︎」があり、エビデンスも豊富です。ただし、肝臓で初回通過効果を受けるため、個人差や肝臓への負担がやや大きいかもしれません。

「ジュリナ®︎」はそのうちの17β-エストラジオールのみの製剤(天然型エストラジオール製剤)であり、ホルモン量が抑えられているため、副作用が懸念される際や、外用が使用しにくい際に有用です。

エストリオール製剤である「エストリール®︎」「ホーリン®︎」は血管運動神経症状(ホットフラッシュなど)に対するエビデンスがやや弱いです。

エストロゲン製剤(外用)

外用薬は肝臓における初回通過効果を回避でき、「肝臓への負担が少ない」「中性脂肪増加作用が少ない」などのメリットがあるとされています。

「エストラーナ®︎テープ」は2日に1回、「ル・エストロジェル®︎」「ディビゲル®︎」は連日です。

「エストラーナ®︎テープ」は下腹部または臀部、「ル・エストロジェル®︎」は両腕(手首〜肩)、「ディビゲル®︎」は大腿部または下腹部です。

EPTの際は別途プロゲスチンを併用します。

プロゲスチン製剤

主に使用されるメドロキシプロゲステロン製剤として「プロベラ®︎」「ヒスロン®︎」があります。

周期投与(休薬あり)では5〜10mg、持続投与(休薬なし)では2.5mgが子宮内膜を保護できる量とされています。

規格の異なる「ヒスロン®︎H200mg」は乳がん・子宮体がんの治療薬であり、取り違えの報告もあるため注意が必要です。

近年ではジドロゲステロン製剤である「デュファストン®︎」の乳がん発症リスクが少ないという知見があります。

エストラジオール1mgに対し、周期投与では10mgを14日間、持続投与では5mgが子宮内膜を保護できる量とされています。

エストロゲン/プロゲスチン配合剤

経口の「ウェールナラ®︎」と経皮の「メノエイドコンビパッチ®︎」があります。

「メノエイド®︎コンビパッチ」は週2回(月・木や火・金など)、下腹部に貼付です。

「ウェールナラ®︎」は閉経後骨粗鬆症が適応です。

漢方薬

女性に対する三大漢方薬とよばれる「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」「当帰芍薬散」などもよく用いられます。

「加味逍遙散」は主に虚証で、抑うつ・イライラなどの精神症状がみられる際に。

「桂枝茯苓丸」は主に実証。便秘の際は「桃核承気湯」、痛み・皮膚症状が強い際は「桂枝茯苓丸加薏苡仁」なども。

「当帰芍薬散」は主に虚証で、冷え性・貧血・胃腸虚弱・疲れやすい、などに。

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