自称HSPと真のHSPの違いとは?

生きるヒント

最近、twitterや『ワイドナショー』(フジテレビ)で、田村淳さん・要潤さん・ベッキーさんなどが「自分もHSPだ」と公言し、一時話題となりました。

HSP(Highly Sensitive Person)とは、様々な身体的・精神的刺激に敏感な人のことで、アメリカのエレイン・アーロン博士が提唱した概念です。

この概念が広まることで、繊細な人が感じている「生きづらさ」が軽減すればいいなと思いますが、一方で「自称HSP」が増加しているという指摘もあるようです。

今回はそのことについて少し触れてみようと思います。

以下は、アーロン博士によるHSP自己テストです(出典:『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』武田友紀著)。

  • ・自分をとりまく環境の微妙な変化によく気づくほうだ
  • ・他人の気分に左右される
  • ・痛みにとても敏感である
  • ・忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる
  • ・カフェインに敏感に反応する
  • ・明るい光や、強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
  • ・豊かな想像力を持ち、空想に耽りやすい
  • ・騒音に悩まされやすい
  • ・美術や音楽に深く心動かされる
  • ・とても良心的である
  • ・すぐにびっくりする
  • ・短期間にたくさんのことをしなければならないとき、混乱してしまう
  • ・人が何かで不快な思いをしているとき、どうすれば快適になるかすぐに気づく
  • ・一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤだ
  • ・ミスをしたり物を忘れたりしないようにいつも気をつける
  • ・暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにしている
  • ・あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり神経が高ぶる
  • ・空腹になると、集中できないとか気分が悪くなるといった強い反応が起こる
  • ・生活に変化があると混乱する
  • ・デリケートな香りや味、音、音楽などを好む
  • ・動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している
  • ・仕事をするとき、競争させられたり、観察されていると、緊張し、いつもの実力を発揮できなくなる
  • ・子供の頃、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた

これをみるとわかりますが、ほとんどが主観に基づく質問であり、客観的な指標は少ないです。

また、正式な医学用語ではなく、アーロン博士が定義した一種の学説です。

つまり、いくらでも「私はHSPだ」と自称することができます。笑

もっとも私は自称HSPを批判するわけではなく、実際になんらかの生きづらさを感じる部分はあるのでしょうから、こういった概念が広まることにより、個人として社会として、理解・対応が進めばいいなと思います。

ただ、あまりに軽々しくHSPを自称する人が増えてしまうと「あー、あの流行ってるやつね」「みんな多少なりそんなもんでしょ」などと軽視されることになり「真のHSP」が余計に生きづらくなる。そういうリスクをはらんでいます。

これは想像ですが、おそらく「真のHSP」が感じている「生きづらさ」は、「HSP疑い」「軽度HSP」とはレベルが違うと思います。

「うつっぽい」と「うつ病」のような違いに近いのではないでしょうか。

私見で恐縮ですが、その差は「日常生活に支障をおよぼす度合」かな、と。

「真のHSP」と思われる人は、慢性的に刺激を受け続けるため心身が疲弊して、日常生活を送るのが大変です。

HSP自体は病気ではありませんが、自律神経症状をはじめとした様々な不定愁訴や、メンタル疾患に発展することもあります。

すぐに考えを修正できる人や「私もHSPだから、大したことないよ!」などと言える人は、HSPではないか、軽度なのでしょう。笑

ですから、本当に高レベルで生きづらさを感じている人がいることを理解することが大切だと思います。

一方で、HSPを「敏感」、非HSPを「鈍感」と、HSPが優位なような論調で話をするのも、個人的には少し違うかなと思います。

HSPかどうかは関係なく、すべての人が生きやすくなるよう理解し合える世界になることを願っています。

以下、同じHSP関連の本である『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』(イルセ・サン著)より、私が共感した言葉などをご紹介します。

HSPの人たちは、自分とはまったく異なるタイプの
行動が評価される文化で生きてきました。HSPのな
かには、ほかの人たちから期待される通りの元気なキ
ャラクターでいようと苦心し続け、本来のマイペース
でおとなしい自分の性格を受け入れられたのは、年金
生活に入ってから、などという人もいます。
HSPの多くが、諍(いさか)いの場に居合わせるの
が嫌だと言います。喧嘩の場に居合わせることで、ス
トレスを感じたり、雰囲気が悪いと感じるのでしょ
う。
HSPの多くは、非常に誠実で、すべての物事の責任
をとろうとする傾向があります。 
外向的なHSPは、自分の限界以上に社交的であろう
とするからです。
ほかの大半の人と同じように、タフでエネルギーに満
ちあふれた人間になろうとするのはやめて、その代わ
りにとても敏感で感受性の強い自分を受け入れ、繊細
な自分にぴったり合った人生設計をするのです。

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