音声解説はコチラ↓ 耳で覚える薬の使い分け〜骨粗鬆症治療薬〜【薬剤師・勉強】骨粗鬆症治療薬の使い分けを解説しています。音声のみで恐縮ですが、通勤途中や寝る前、スキマ時間の勉強に。文章をご希望の方はブログをご参照ください。【薬剤師執筆】骨粗鬆症治療薬の使い分け/※2021/03/28現在の情報です。定期的に更新致しますが、...
背骨・大腿骨といった重要部位の骨折リスクが上がる骨粗鬆症。
寝たきりの原因としても上位に位置し、管理が大切な疾患です。
今回はその治療薬について、まとめてみます。
第一選択薬
ガイドラインにおいて「骨密度上昇」「椎体骨折抑制」への有効性が「A」である内服薬は
・ビスホスホネート製剤(エチドロネートを除く) ・SERM ・エルデカルシトール(エディロール®︎)
であり、これらが第一選択薬の候補となり得ます。
さらに
・アレンドロネート(フォサマック®︎/ボナロン®︎) ・リセドロネート(アクトネル®︎/ベネット®︎)
は「非椎体骨折抑制」「大腿骨近位部骨折抑制」についても「A」となっています(今後エビデンスが集積されれば、他のビスホスホネートの評価も上昇するかもしれません)。
プラリア®︎皮下注も各評価が「A」であるため、内服不能・効果不十分な際などの選択肢となります。
ビスホスホネート製剤
骨密度上昇効果や骨折抑制効果が高め。
・起床後空腹時に多めの水で服用 ・服用後30分(ボンビバ®︎は60分)は 飲食・臥床を避ける
など利便性がやや低いのが欠点。
アレンドロネート・リセドロネートは、ステロイド性骨粗鬆症に対する第一選択薬でもあります。
歯科治療時の継続の可否については、ガイドラインでは
・服用期間が3年以上 または ・3年未満でも飲酒・喫煙、肥満、糖尿病、 免疫低下状態など顎骨壊死の危険因子あり
の場合は「3ヵ月を目安に休薬する」となっています。術後は可能であれば2ヵ月程度してからの再開がよいといわれますが、この辺りはまだ見解の統一には至っていません。
また、長期服用による「非定型大腿骨骨折(大腿骨転子下および骨幹部)」の報告があります。発生率は低いため実際に問題となることは少ないですが、長期服用例で「鼠径部」「大腿部」の痛みがみられた場合は注意が必要です。
ビスホスホネート製剤の服用間隔
経口ビスホスホネート製剤の服用間隔は
・アレンドロネート(フォサマック®︎/ボナロン®︎) →連日 or 週1回 ・リセドロネート(アクトネル®︎/ベネット®︎) →連日 or 週1回 or 月1回 ・ミノドロネート(ボノテオ®︎/リカルボン®︎) →連日 or 月1回 ・イバンドロネート(ボンビバ®︎) →月1回
です。
リセドロネートは選択肢が多いですね。
点滴静注では年1回の「リクラスト®」という製剤もあります。
ビスホスホネート製剤の剤形
ボナロン®︎には月1回の「経口ゼリー」「点滴静注」があります。
ボンビバ®︎には月1回の「ワンショット製剤」があり、内服困難な方などへの使用が増えています。
SERM
「選択的エストロゲン受容体モジュレーター」の略で、エストロゲン様の骨代謝改善作用をもち、第一選択薬のひとつです。
副作用としては、血栓症のリスクなどに注意。
また「アリミデックス®︎」などのアロマターゼ阻害薬の作用を減弱させる可能性があるため、これらとSERMの併用は推奨されません。添付文書などに記載されていないため、見落としやすい点です。
「ラロキシフェン(エビスタ®︎)」と「バゼドキシフェン(ビビアント®︎)」があり、ガイドライン上での評価は同等ですが、骨折予防効果はビビアント®︎が上という報告があります。
活性型ビタミンD3製剤
エルデカルシトール(エディロール®︎)は、カルシウム吸収促進作用に加え、強い骨吸収抑制作用ももっており、「骨密度上昇」「椎体骨折抑制」に対する評価は「A」となっています(他のVD製剤は「B」)。
「アルファカルシドール(アルファロール®︎/ワンアルファ®︎)」や「カルシトリオール(ロカルトロール®︎)」は骨粗鬆症への効果には劣りますが、CKDや副甲状腺機能低下症におけるVD代謝異常への適応があります。
デノスマブ(プラリア®︎)
6ヵ月に1回の皮下投与で済むため、内服困難な際などに有用です。
低カルシウム血症の予防のため、原則として「デノタス®︎チュアブル」を併用します。ただし、腎機能障害例では天然型ビタミンであるデノタス®の活性化が障害されるため、代わりに活性型ビタミンD3製剤を用いる必要があります。
「骨密度上昇」「椎体骨折抑制」「非椎体骨折抑制」「大腿骨近位部骨折抑制」すべて「A」です。
テリパラチド製剤
適応は「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」。薬価も高く第一選択薬としては使用しませんが、リスクの高い方へ有用です。
「テリパラチド酢酸塩」として、週1回の「テリボン®︎皮下注用」、週2回の「テリボン®︎皮下注オートインジェクター(自己注射可)」。
「テリパラチド(遺伝子組換え)」として連日投与の「フォルテオ®︎皮下注キット(自己注射可)」があります。
それぞれ24ヵ月までの適応なため、カウントが必要です。
コメント