【薬剤師執筆】気管支拡張薬の使い分け

薬の使い分け
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気管支拡張薬は、気管支炎や気管支喘息、肺気腫などに使用されます。

今回はそれらの使い分けについて、まとめてみます。

※ロイコトリエン受容体拮抗薬は「抗アレルギー薬」として扱うのが一般的ですが、気管支拡張作用ももつため、ここでは合わせて解説します。

テオフィリン製剤

<薬剤例>
「テオドール®︎」「テオロング®︎」
「ユニコン®︎」「ユニフィル®︎LA」 など

一般名が「テオフィリン徐放錠(12〜24時間持続)」のものが「テオドール®︎」「テオロング®︎」で、主に「1日2回」。

一般名が「テオフィリン徐放錠(24時間持続)」のものが「ユニコン®︎」「ユニフィル®︎LA」で、「1日1回」。

一般名処方時の読み間違えによる過誤が散見されるため、注意しましょう。

ちなみに「テオロング®︎」はジェネリック医薬品なのですが、諸般の事情で薬価が先発より高額となっているため、ジェネリック扱いになっていません。そのため先発と同様「テオドール®︎→テオロング®︎」への代替調剤の際は疑義照会が必要です。

治療域と中毒域の差が小さく血中濃度モニタリングが重要なのですが、濃度を上下させる要因が多いため注意が必要です。

主な代謝酵素がCYP1A2であるため、これを阻害または誘導する医薬品との相互作用が生じます。例えば強力な阻害薬である「フルボキサミン」との併用時は、「テオフィリンの用量を1/3にする」と記載されています。他にも喫煙では濃度低下(CYP1A2誘導)、禁煙すると濃度上昇(誘導の解除)する可能性もあります。

カフェインも同じキサンチン系のため、併用により悪心、嘔吐、頭痛、興奮、動悸、振戦などの副作用があらわれやすくなります。

小児(特に乳幼児・発熱時)は痙攣などの副作用が起こりやすいことにも注意が必要です。

β刺激薬

<薬剤例>
・メプチン®︎(プロカテロール)
・ベネトリン®︎(サルブタモール)
・ホクナリン®︎(ツロブテロール) など

慢性疾患の気管支喘息などの場合は全身性副作用の少ない吸入薬がメインですが、急性の気管支炎などにはこれらの内服薬・貼付薬もよく利用されます。

ホクナリン®︎テープはβ刺激薬としては初の貼付薬。

動悸・振戦などの交感神経刺激症状のほか、低カリウム血症などにも注意が必要です。

吸入薬については吸入薬の使い分け参照。

ロイコトリエン受容体拮抗薬

<薬剤例>
・オノン®︎(プランルカスト)
・キプレス®︎/シングレア®︎(モンテルカスト)
  など

オノン®︎とキプレス®︎錠/シングレア®︎錠は「気管支喘息」のほかに「アレルギー性鼻炎」の適応もありますが、キプレス®︎/シングレア®︎の「チュアブル」「細粒」は「気管支喘息」のみです。そのため小児にはオノン®︎の方が処方しやすいかもしれません。

鼻炎の中でも「鼻閉」はロイコトリエンが関与するとされているため、これらの薬剤もよく使用されます。

用法は、オノン®︎が「1日2回、朝夕食後」、キプレス®︎/シングレア®︎が「1日1回、就寝前」です。

モンテルカストに関しては「うつ病・自殺・攻撃的行動といった精神症状」のリスクをFDAが警告しており、日本でも添付文書に記載されました。

ちなみにアスピリン喘息ではロイコトリエンの過剰産生が関連しているため、この系統の薬を使用する場合があります。

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