【薬剤師執筆】胃粘膜保護薬の使い分け

薬の使い分け
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様々な種類のある胃粘膜保護薬。

比較軽症の胃炎や、NSAIDs潰瘍の予防によく使用されます。

医師の好みによる部分もありますが、それぞれの薬には少しずつ特徴・違いがあります。

今回はそれらの使い分けについて、まとめてみます。

レバミピド(ムコスタ®︎)

胃粘膜保護薬の代表的存在。錠と顆粒があります。

「ロキレバ」「ロキムコ」というように、ロキソプロフェンなどのNSAIDsとの併用をよく目にします(厳密にはPPIやサイトテック®︎以外は「適応外」)。

近年、NSAIDsによる小腸粘膜病変(潰瘍・消化管出血・貧血)が問題視されており、レバミピドがこれを改善させるという報告があります。PPIでは増悪させるという報告もあります。

テプレノン(セルベックス®︎)

カプセル・細粒があり、こちらもよく使用される薬です。

「食後3時間投与ではAUCが23%低下した」とあるため、添付文書では「食後」とされています。特に頓服でNSAIDsと一緒に処方された際など注意が必要です。

アズレン(アズノール®︎/マーズレン®︎)

単に「胃炎」の病名で処方できるという、保険審査上のメリットがあります。

通常、L-グルタミンが配合されたマーズレン®︎を使用することが多いです(L-グルタミンにも胃粘膜保護作用あり)。

アズノール®︎は食前服用で胃炎の適応もありますが、どちらかというと「口腔・咽喉」の炎症に対し、外用で使用することが多いです。

アズノール®︎錠は「4〜6mgを100mLの水に溶解し含嗽」、アズノール®︎ST錠は「上唇と歯茎の間に挿入」、その他うがい液もあります。

ちなみにこのST錠、完全に溶けるまで数時間かかり、口内は青く着色します。

スクラルファート(アルサルミン®︎)

細粒と内用液があります。内用液は頓服としても有用です。

アルミニウムを含有するため、透析には禁忌、腎障害には慎重投与です。

また、キレート形成により「ニューキノロン系抗菌薬」「テトラサイクリン系抗菌薬」などの吸収を阻害するため、併用の際はこれらを投与した2時間後にスクラルファートを投与する必要があります。

ポラプレジンク(プロマック®︎)

適応は「胃潰瘍」ですが、亜鉛を1錠中に約17mg含有し、味覚障害などの亜鉛欠乏症に使用されることも多いです。

亜鉛の摂取基準は「年齢」「性別」「妊娠や授乳の有無」によって異なりますが、推奨量は成人男性が「約11mg」、成人女性が「約8mg」です。

亜鉛は銅の吸収を阻害するため、長期投与の際などは「銅欠乏症」による貧血・血球減少などに注意。

用法が「朝食後・就寝前」であることが個別指導で指摘されやすいです。

アルギン酸(アルロイド®︎G)

止血作用があり、消化性潰瘍・逆流性食道炎・胃生検などによる出血性病変などに使用されます。

ミソプロストール(サイトテック®︎)

「NSAIDs長期投与時の胃潰瘍および十二指腸潰瘍」が適応。

小腸粘膜病変にも有効とされており、近年再注目されています。

子宮収縮作用があるため妊婦禁忌な点に注意。

下痢や腹痛があらわれることがあります。

その他

・イルソグラジン(ガスロン®︎)
・エカベト(ガストローム®︎)
・ソファルコン(ソロン®︎)
・トロキシピド(アプレース®︎)
・ベネキサート(ウルグート®︎)
・アルジオキサ など。

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