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降圧薬はよく使用される薬ですが、血圧低下を起こす病態では、反対の「昇圧薬」が使用されます。
今回はその使い分けについて、まとめてみます。
適応ごとの解説
低血圧症
低血圧症には明確な診断基準はありませんが、WHO基準に則ると「収縮期血圧(SBP)100mmHg以下、拡張期血圧(DBP)60mmHg以下」となります。特に朝の血圧が必要値まで上がらないことによる、だるさ・めまい・頭痛・動悸などを症状とします。
自覚症状がなければ昇圧薬を使用する必要はありません。
甲状腺機能低下症や心疾患が背景にないかの確認も大切です。
起立性低血圧
起立後3分以内に「SBP20mmHg以上 or DBP10mmHg以上」の低下がみられる場合を起立性低血圧と診断します。
いわゆる「立ちくらみ」のことです。
頻繁に起こりQOLに影響を与える場合に薬物治療を考慮します。
透析による血圧低下
血液透析時は循環血液量の低下に伴い血圧低下を起こしやすいため、必要に応じて昇圧薬を使用します。
あくび・吐き気・頭痛・動悸・倦怠感などを初期症状とし、放置するとショックを起こす場合もあります。
薬剤の作用時間によって投与のタイミングが異なります(後述)。
薬剤ごとの使い分け
リズミック®︎(アメジニウム)
「ノルアドレナリンそのもの」の作用増強(再取り込み阻害・不活性化抑制)。
メトリジン®︎に比べ、やや動悸・頭痛などの副作用が出やすいかもしれません。
適応は「本態性低血圧」「起立性低血圧」「透析施行時の血圧低下の改善」。
効果発現時間は「投与後約2時間」であり、透析時は開始時(直前)に投与とされています。
メトリジン®︎(ミドドリン)
α1受容体を選択的に刺激するため、副作用が軽減されています。
適応は「本態性低血圧」「起立性低血圧」ですが、透析時に応用される場合もあります。
活性本体の脱グリシン体のTmaxが1.5hrとリズミック®︎に比べ効果発現時間が早いです。
透析時は開始30分〜1時間を目安に使用、必要に応じて追加投与します。
ドプス®︎(ドロキシドパ)
ノルアドレナリンの前駆体。
適応は「パーキンソン病における、すくみ足・立ちくらみの改善」「シャイドレーガー症候群・家族性アミロイドポリニューロパチーにおける低血圧」「血液透析に伴う血圧低下」。
「本態性低血圧」「起立性低血圧」の適応はありません。
ノルアドレナリンが有意に高まるのは投与3時間以降と遅め。透析時は30分から1時間前に服用しておきます。
効果は24時間前後と長く持続するため、非透析時にも低血圧傾向の方に適します。
症状と副作用の見分けに注意
低血圧と昇圧剤の副作用に共通するものとして「頭痛」「動悸」などがあります。
例えば、副作用なのに「まだ症状が出ている」と判断して増量してしまえば悪化します。
昇圧剤の血中濃度が、高値の際と低値の際、どちらで起こるのか、など注意が必要です。
生活習慣にも注意
低血圧は自律神経などの影響も大きく、単に昇圧剤を使用して済ませればよいというわけではありません。
適切な「食事」「運動」「睡眠」など、規則正しい生活も指導する必要があります。
また、背景にメンタル面の問題が隠れていることもあるため、医療従事者・家族にはその点も気にかけてあげてほしいと思います。
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