小説『ラッシュライフ』より

読書

概要

私が伊坂幸太郎作品にハマるキッカケとなった作品。

・「金があればなんでもできる」という思想のもと、金の力で好き放題している画商と、それに付き従う女性画家

・独自の美学を持ち、沈着冷静で達観した雰囲気をもつ泥棒

・父を自殺で亡くし、神に憧れる青年

・不倫相手と一緒になるために互いの配偶者を亡き者にしようと企むカウンセラー

・職をなくし途方に暮れている最中、ふとしたことから犬を連れ歩くこととなった男

これらの一見関係のない人生が絡み合い、ひとつの「絵」が完成する、そんな展開です。

エンターテイメント性に富み、

「ある人のこの行動が、別のある人のこんなところで生きてくるのか!」

「あの台詞は、この場面のためにあったのか!」

など、関連づけや伏線が秀逸で、楽しみながら読むことのできる小説だと思います。

また、伊坂作品では他作品間でのリンクが随所にみられるのが特徴のひとつなのですが、これ以前の作品である『オーデュボンの祈り』の内容の一部が差し込まれており、先にそちらを読んでおくと少し楽しめる一節があったりします(読んでいなくても差し支えはありませんが)。

逆にここで出てくる泥棒はこれ以後にも多数の作品に登場しており、キャラも格好良いので人気の人物です。

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その泥棒の台詞で

「人生においてはみんながアマチュアなのだから、失敗したって落ち込む必要はない」

という内容の言葉が出てきます。

確かにそうですよね。

人は全員、一度しか人生を経験しないのですから、人生のプロなんてものは存在しないのです。

だから、歳を重ね経験を過信して「俺の言うことは間違いない」なんてのも、俗に言う「さとり世代」の若者が達観したことを言うのも、すべてアマチュアの思い上がりということもできるのです。

逆にいえば、「あの人は立派なのに自分は…」なんてのも無用な悩みなのです。

全員がアマチュアなのですからね。

「できる」と思ってるあの人もアマチュアのひとり。

だから悲観せず失敗を恐れず、「アマチュア人生」を死ぬまで楽しんでいけたらいいのかな、と思います。

ラッシュライフ (新潮文庫)
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し...

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