【薬剤師執筆】 PPIの使い分け

薬の使い分け
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耳で覚える薬の使い分け〜PPI〜【薬剤師・勉強】
PPIの使い分けを解説しています。音声のみで恐縮ですが、通勤途中や寝る前、スキマ時間の勉強に。文章をご希望の方はブログをご参照ください。の使い分け/※2021/01/28現在の情報です。定期的に更新致しますが、最新の情報は添付文書やガイドラ...

消化性潰瘍や逆流性食道炎などを中心に、広く使用されるPPI。

医療関係者は毎日のように目にするでしょう。

今回はその使い分けについて、まとめてみます。

ボノプラザン(タケキャブ®︎)

カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)。

既存のPPIは

・酸による活性化が必要なため、効果発現に数日(3〜5日)かかる
・CYP2C19の遺伝子型による個人差が大きいものがある
・酸性条件下では不安定なため持続力に課題がある
 (逆流性食道炎ではpH4.0以上を保つことが理想)

などの課題がありました。

ボノプラザンではこれらが改善され

・胃酸による活性化が不要なため、速やかに効果が得られる
・CYP2C19の影響が抑えられる
・pH4.0以上を維持する効果が高い

ことが示されています。

そのため

・頓服的な「オンデマンド療法」でも効果を得やすい
・既存のPPI抵抗性の逆流性食道炎にも効果を示す
・ピロリ菌除菌効果が高い
 (ボノサップ:92.6%、ランサップ:75.9%)

などのメリットがあります。

軽症の方や症状が安定した方には、効果がマイルドで薬価の低い他薬を選択すべきケースも多いですが、確実な作用を期待したい時は、優先的に使われることも多い薬です。

エソメプラゾール(ネキシウム®︎)

オメプラゾールの光学異性体である「S体」のみを抽出したもの。「Sオメプラゾール」。

ボノプラザンにも言えることですが、CYP2C19による個人差が少なく効果が得やすいため、選択されることの多い薬です。

ボノプラザン程の強力な効果は必要ないが、安定した効果を得たい時など、良く使われる薬です。

顆粒剤や小児適応があるのもメリット。

ランソプラゾール(タケプロン®︎)

PPIの長期投与の安全性については明確な結論が出ておらず

・胃ポリープや胃がん
・難治性下痢
・クロストリジウムディフィシルなどの感染症
・骨粗鬆症
・心疾患
・腎疾患

などのリスクが完全に否定できません。

そのため、ここぞという時以外はランソプラゾールくらいが適当と考える医師もいます。

ラベプラゾール(パリエット®︎)

CYP2C19による影響少なめ。

安価で個人差の少ないものを選択したい時などに。

また、適応によっては、ピロリ菌の除菌以外での「1日2回投与」が可能です。

オメプラゾール(オメプラール®︎)

世界で初めて開発されたPPI。

現在では更に優れた薬が開発されているため、処方は減少傾向。

コメント

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