【薬剤師執筆】抗てんかん薬の使い分け

薬の使い分け
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近年も様々な作用機序の薬が開発されており、多岐にわたる抗てんかん薬。

てんかん自体の発作型も多彩なため、理解の難しい分野だと思います。

今回は抗てんかん薬の使い分けについて、まとめてみたいと思います。

※2010年の発作型国際分類では「部分発作」ではなく「焦点発作」の項目がありますが、2018年のガイドラインでは旧分類にしたがい「部分発作」「全般発作」に分けて説明されているため、当解説もそれに準拠させていただきます。

第一選択薬

日本のてんかん診療ガイドライン2018・アメリカの「エキスパート・オピニオン」・イギリスのNational Institute for Health and Care Excellence(NICE)によるメタアナリシスの評価をまとめると、第一選択薬は概ね以下のようになります。

全般てんかん(強直間代発作・欠伸発作・ミオクロニー発作・脱力発作)

  • バルプロ酸(デパケン®︎/バレリン®︎/セレニカ®︎)

※欠伸発作ではエトスクシミド(エピレオプチマル®︎/ザロンチン®︎)も。次いでラモトリギン。

※ミオクロニー発作ではクロナゼパム(ランドセン®︎/リボトリール®︎)なども。

部分てんかん(単純部分発作・複雑部分発作・二次性全般化発作)

  • カルバマゼピン(テグレトール®︎)
  • ラモトリギン(ラミクタール®︎)
  • レベチラセタム(イーケプラ®︎)

※次いで、ゾニサミド(エクセグラン®︎)・トピラマート(トピナ®︎)。

※アメリカの「エキスパート・オピニオン」ではラコサミド(ビムパット®︎)も高評価。

挙児希望女性

  • ラモトリギン(ラミクタール®︎)
  • レベチラセタム(イーケプラ®︎)

※催奇形性少ない

高齢者

  • ラモトリギン(ラミクタール®︎)
  • レベチラセタム(イーケプラ®︎)
  • ラコサミド(ビムパット®︎)

※相互作用少ない

併用療法での選択薬

第一選択薬での治療でうまくいかない場合、併用を考慮することも多いです。

組み合わせとしては様々なものが考えられますが、薬物相互作用には注意が必要です。

カルバマゼピンやフェニトインはCYPやグルクロン酸抱合を誘導し、トピラマート・ペランパネル・ラモトリギンなどの血中濃度を低下させます。

ラモトリギンはバルプロ酸と併用すると、グルクロン酸抱合の競合により、半減期が約2倍に延長するため、減量(初回は隔日投与)が必要です。

ガバペンチン・レベチラセタム・ラコサミドなどは相互作用が少なく併用しやすいです。

ちなみに現在のところ

・クロバザム(マイスタン®︎)
・ガバペンチン(ガバペン®︎)
・トピラマート(トピナ®︎)

は併用療法としてのみの適応。

投与すべきでないもの

カルバマゼピン・ガバペンチンは、欠伸発作やミオクロニー発作を増悪する場合があります。

・ミオクロニー発作と単純部分発作
・強直間代発作と二次性全般化発作

などの鑑別は重要です。

コメント

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