「うつ病」「糖尿病」の関係と、それらを「同時に」改善する方法

医学・薬学

私は精神科治療に携わる傍ら、糖尿病療養指導士でもあるため、今回はそれらの関連について書いてみたいと思います。

現在の我が国では、うつ病の患者数は100万人以上、糖尿病の患者数は300万人以上、などと言われています。

そして実は、この「うつ病」「糖尿病」が、お互いを悪化させる可能性があるのです。

「うつ病」「糖尿病」の関係

これについての研究は色々ありますが、「うつ病」により「糖尿病」の発症率は最大で60%増加させる、と言われることがあります。

これは理論的にも納得できます。

うつ病でストレスが溜まっていると「アドレナリン」「コルチゾール」というストレスホルモンが分泌されるのですが、これが血糖値を上昇させるのです。

それ以外にも、血糖値を下げる「インスリン」の効きを悪くする可能性があることも指摘されています。

また、うつ病で活動量が低下し、エネルギー(糖)の利用が低下することも原因となり得ます。

これらを考えると、うつ病が血糖に与える悪影響は否定できないと考えます。

その逆に、「糖尿病」が「うつ病」を発症・悪化させるということに関しては、関係があるという意見と、それほどではないという意見があります。

いずれにしても、「うつ病」「糖尿病」を合併すると、死亡率や生活の質に悪影響を与えるのは確実なため、注意が必要です。

「同時に」改善させる方法とは?

それはずばり「運動」です。

以前うつ病の改善方法として「運動」をあげましたが、実は糖尿病で推奨されている運動療法の内容も、これとほぼ同じなのです。

すなわち

・「中強度」の運動(気持ち良く汗をかく程度)

・1回20〜30分

・週3〜5回

これにより、うつも血糖も改善するというデータがあります。

更に糖尿病の運動療法として補足すると、

・強度の高過ぎる(ストレスになる程の)運動は逆に血糖を上昇させるので注意

・運動する時間は食後1〜2時間がオススメ(食後の血糖値を抑えるため)

・薬を飲んでいない方は食前でも良いが、服薬中の方は空腹時に運動すると低血糖のリスクがあるため避けたほうが良い

・一度に長く運動できなくても、1週間の総計が2時間〜2時間半あれば改善が見込めるというデータがある

・継続的な運動はインスリンが効きやすく血糖の下がりやすい体質をつくる。この効果は運動をやめて数日〜1週間でなくなる(だから継続が大切)

なども、知っておいていただけたらと思います。

ストレス管理もしっかりと

今回は対処法として運動をメインにあげましたが、ストレスホルモンが出過ぎないようにすることも同じくらい大切です。

ストレスを減らす方法についても他の記事で色々と書いていますので、宜しければそちらも参考に、自分流の生き方を見つけていってほしいな、と思います。

うつ病も糖尿病も、生活習慣病と言えますから、ご自身で治療することがとても大切なのです。

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